あなたside
2019年7月9日
あれからジャニーズ全員に連絡が回ったようで、
仕事の合間を縫っては、おじいちゃんに会いに来ていた。忙しくても毎日のように来てくれた。
おじいちゃんも嬉しそうで、初日、広くて寂しいと感じた病室は、だんだん埋まるくらいの人が集まって賑わっていたようにも思える。
何度も危ない時があったけど、みんなで応援したりそばに居たり、おじいちゃんの力になれることをして乗り越えた。
お医者さんからも奇跡と言える出来事だと言われ、おじいちゃんが頑張ってくれていたことを物凄く感じる。
でも、それももう限界が来たようで、
2019年7月9日 午後4時47分
おじいちゃんは人生の幕を下ろした。
呼び掛けても、反応はない。
みんな悲しみに暮れている。泣く人、これが信じられなくて涙を流せない人。私は、後者。
人間、感情の限界を越えると、涙がでてこないということを知った。
現実だと信じられなくて、涙が出ない。
これは夢なんじゃないか。目を覚ませば、おじいちゃんは生きてるんじゃないか。もはや入院もしてないんじゃないか。
ほっぺたを引っ張ってみる。
痛い。
じゃあ、これは本当なの?本当におじいちゃんは、亡くなったの?
おじいちゃんの眠る側で、ただただ立ち尽くす。
誰かが呼んでる。誰だろ。山ちゃんかな。
振り返ろうとすると、体が動かなくて、山ちゃんの方を見れない。
こんな時に症状が出てるの?
ここで動かないなんてことあんの?
今まで全然大丈夫だったじゃん。なのに、よりによって今とか。
いや、もしかしたら症状じゃなくて、私が振り向きたくないだけなのかな。
自分では気付いてないだけで、本当は、今は誰とも話したくないのかな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!