山田side
ヤバイ……大ちゃんが……怖くて……言葉が出ない。
なんて言うのが正解なのか……分からない……。
今の大ちゃんに何なら言っていいのか分からない……
どうしよう……黙っててもどうにもならないことくらい分かってる。
それくらい分かってる……けど、頭が真っ白になってなんにも考えられない…。
そうだ、俺しか話せないんだ……言わなきゃ……
俺の話をしなきゃ………
そう言った大ちゃんは下を向いて、泣いていた。
よほど、あなたへの思い入れが強かったらしい。
俺だって思い入れならいくらでもあるけど、泣くくらいかと問われれば、違う。
俺は軽く考えすぎていた。
大ちゃんは、泣くほどあなたのことを想っている。
なのに俺は、あなたが病気だと知って信じたくなかったから、忘れようとしてた。
最低だ。
今さらこんなこと思ってもしょうがないけど、
あの時の俺が、大ちゃんだったら良かったのに。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。