山田side
電気がついてる……ってことは起きてる?
いやいやいや、だって、あなたが部屋に行ったのって10時くらいでしょ?
起きてるってことはないよな……
でもじゃあ、なんでついてんの?
普通に消し忘れかな?
消しといた方が良いかな……いや、でもあんまり入らない方が良いよな……
ガタッ
その時、何かが落ちる音がした。
確実に、あなたの部屋から。
大きな音ではなかったけど……やっぱり不安になってしまい、気付いたときにはドアを開けていた。
声を掛けても反応はなく、静かに寝ていた。
どうやら音の原因は、ベッドから落ちたと思われるスマホ。あなたが動いた時に落ちたんだろう。
あなたの無事は確認できたし、電気消して戻るか…
クシャ
足下に落ちていた何かの紙を踏んでしまった。
特に何も書かれておらず、ただの白紙。
と思ったら、裏面だったようでうっすらと文字が書かれていた。
表面を見ようとした時、
とっさに拾った紙を後ろに隠して返事をした。
パチッ
ガチャ
ゆっくりとドアを閉めて、部屋から出た。
そういえば、紙も持ってきてしまった。
どうしても気になって、自分の部屋に戻ってから、中身を読んでしまった。
あなたの秘密が書かれているとも知らずに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!