優しく暖かい風が頬に当たる。
今日は君が僕のお嫁さんになる日。
ねえ、あの日のことを思い出して。
僕と君が出会った春の日。
4月10日。
今日は俺の学校に転入生が来るらしい。
まあ、ジェノが言ってた通り俺は学校に行ってなくて。と言うより行けてない。方がただしい。彼奴は母さんと俺と母さんの中にいる子を置いて出ていった。その後、母さんは出産でなくなった。まだ妹は五歳で保育園に行かせられるお金もないから、俺がバイトしながら妹の面倒を見ている。
なんで退学されないかって?一応俺勉強出来るし、テストではTOP10はキープしてるのもあるし、けどあれだな。校長達が俺の家の事情を把握してるからってのが1番。感謝しております。
んで、今日来たのはばあちゃんがたまには面倒見るから学校行きなさいって妹の面倒見てくれてるのとあとは、ジェノが言ってた転入生の子のこと。気になるじゃん?同じクラスに誰が来るのかとか。
別にヤンキーでもないし、塾もジェノとずっと一緒に通ってたけど、彼奴のせいでぜーんぶ壊れちゃったんだよね。まあ、もう知らないけど。
「はーい、みんな座れ。」
「お、へちゃな今日は珍しく来てんだな。」
「寝ないでちゃんと授業受けろよ」
「よし、みんな座ったか?知ってると思うが転入生が来る。入ってきてくれあなた。」
『失礼します』
いや〜、ほんとびっくりしたよ。俺のどタイプ過ぎて。
ほんと、一目惚れってあるんだね。妹が読んでたあの絵本だけしかないと思ってた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。