りょう先輩の爽やかさと私的な好感度は減ることなく、増え続けている
次、移動教室だよって教えてくれて2人で移動中
すると、私を呼ぶ声が聞こえた。
ふりむくとゆめ先輩が笑顔で手を振っている
「ゆめまる待っててっていったじゃーん!」
廊下中はその声が響き渡った
「何やっとるだ~!チャイム鳴るぞ~!」
先生が後ろから大きな声で注意してきたので、先輩たちとの会話はおわった。
4時間目が終わり、お弁当の時間。
いつの間にか理科の教師が来ていて授業が始まった。
私は1番後ろの席で
なんでりょう先輩は理系にしたんだろ~って思ったり今なんの授業なのかな~って考えたりしていた。
先生「ビーカー1つ足りんなぁ」
「先生、黒板書くのに忙しいから誰か理科室までビーカー取りに行ってくれない?」
早く教室から抜け出したい私は、授業サボれる!と思ってすぐに挙手した。
先生「おー、ありがとう」
「今ほかの学年が理科室で授業やってるけどノックして入ればいいから」
自分から行きますって言ったものの、
誰もいない廊下を歩くのは心細かった。
理科室では絶賛授業中でちょっと緊張したけど、ノックしてクラスと名前と要件を言った。
先生「後ろの棚にあるよ~」
皆さんからの視線がとても多くて
誰やねんあいつみたいな顔をしていた。
でも、1人だけすっごい笑顔でこっちを見ていたので少し目が合った。
りょう先輩だった。
爽やかスマイルで手を振ってくれて
私は何も反応できずに軽く頭を下げた。
正直、びっくりしてるしどこか嬉しいような気もする。
ビーカーどこだろ~?とか思いながら棚を開けた。
私はなぜか小走りで理科室を出た。
理科室を出る時にりょう先輩は特に何も言わずに私の背中をポンと叩いた。
教室に戻るまで頭は真っ白。
やっと我に返ったのは先生の一言だった。
先生「お前、背中になんか着いてるよ」
私の背中には1枚の紙が張り付いていた。
それは急いでノートをちぎったかのような紙にペンで「きょうぶかつのじゅんびよろしく」と大きく書いていた。
この紙を私に付けるためにビーカーを取ってくれて、背中をポンってしたのか。。。
りょう先輩に優しくしてもらったことに浮き足立ってしまった。
顔が熱くなっていくのを感じた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。