また 2人きり になり 、
心電図のリズミカルな音が響いていて 、
時々 雄也の寝息が聞こえる
心電図を見て 、異常がない ことを確認し
ほっと一息つく
雄也の頬がほんのり赤くなっていて 、
朝の検温を忘れていたことに気づく
申し訳ないと思いながらも 、
肩を軽く叩き雄也を起こす
'' 検温忘れてた ''と言うと 、
そうだった と言って自らの
病院着のボタンを外し始めた
体温計を渡し 、身なりを整えてやる
数秒後 、体温計が鳴った
さっきから 、雄也の元気がない
思いきって聞いてみることにした
そうか 、トイレに行きたかったんだ
雄也は 、我慢して失敗してしまうことが多いから
なるべく早めに気づいてあげるのがいいんだけど
なかなか難しい ...
'' 行こうか ''とゆっくり起こしてあげて 、
点滴スタンドと一緒にトイレへ直行
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トイレに着き 、
個室へと誘導する
俺は 、念の為個室の前で待機
あれ ... なんか今 、涙目じゃなかった ?
気のせいかな?と思い しばらく待ってみることに
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ん?やっぱり泣いてる?
個室からはすすり泣く声が漏れている
すると 、
ガッシャーン !!
雄也の声にならない叫びとともに 、
放たれた扉から点滴スタンドが倒れてきた
その反動で 、抜けたと思われる針が血と一緒になって
転がっている
俺は間一髪のところで避けて 、難を逃れる
まだ病院着を脱いでいなかったのか 、
床には血と漏れ出た尿がとめどなく流れている
素早く持っていたガーゼで点滴痕を押さえ 、
八乙女に連絡する
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!