第3話

始まり
627
2021/12/10 12:54


 
そよ風に誘われて空を見上げると、

そこには今を盛りと咲き誇る桜のカーテンが下りていた。

小鳥たちがさえずる賑やかな朝、平成高校の校門前では鳥たちに負けず劣らず

甲高い女子生徒たちの声が上がっていた。
女子生徒
女子生徒
来た来た
女子生徒
女子生徒
今日もかっこいい
視線の先にいるのは、男子3人組。

つい1週間前に入学したばかりの1年生ながら、

すでに校内でも話題になっているグループだ。
女子生徒
女子生徒
涼介くん、顔めっちゃキレイ
ふわっと揺れる柔らかな茶色の髪の男子は山田涼介。

みんなの目を引くのはその整い過ぎた容姿だ。

華やかな顔立ちをし、そこに居るだけで存在感が際立っている。

彼は女子らの熱い視線をまったく気に留めていない。

手にしたソーダのペットボトルでトントンと肩を叩き、無表情に前を向いている。
女子生徒
女子生徒
中島くんも、ヤバ!
横を歩くのは中島裕翔、黒髪をなびかせ、優しげな笑顔で挨拶を返す。

こちらもまた、美男子である。
中島裕翔
中島裕翔
おはよう
女子生徒
女子生徒
きゃー、かっこいいー
周りには黄色い悲鳴が響き渡った。
女子生徒
女子生徒
伊野尾くんも可愛いよね
イケメンながら、可愛いという表現もしっくりくるのは伊野尾慧。

明るい茶髪に大きな瞳をくりくりと輝かせる彼。

全員がもれなく華やかで、人込みですれ違ったとしても間違いなく二度見してしまう。

いつの間にやら男子生徒達も集まり、噂話に花を咲かせている。




そんな中、明るめの髪色に制服を着崩した男子生徒が彼らの前へ進み出た。

脇には2人の体格のいい男子生徒を侍らせている。
男子生徒
男子生徒
おい山田、あんま調子乗んなよ

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