私は学校に着いてそのまま屋上へと向かった。
とにかく静かなところで1人になりたかった。
全速力で屋上へ向かって、扉を開ける。
ガンッ((
扉を開けると、あの生徒会長がいた。
その後、バチっと目が合ってしまった。
私は泣いていたことをすっかり忘れていた。
人に見られてることを実感し、
いち早く泣き止もうと努力するのに…
自分の中の張り詰めていた糸がプチンと切れて、
溢れる涙は簡単には止まらない。
そういって彼は私に近づき、ハグをした。
恐る恐る顔を上げると、
さっきまでの彼と打って変わった優しい表情。
まるで…包み込んでくれているよう。
そのまま予鈴が鳴るまで、
私は先輩の腕の中で泣いていた。
何で?って思う自分も当然いた。
あんだけ人と関わらない。
目立たない。って決めたのに。
でも、それ以上に今の私は気持ちに余裕がなくて、
優しい先輩にすがっていた。
先輩を怖い人だと思ってたけど、きっと違う。
温もりを感じて、そう思った。
キーンコーンカーンコーン…
そう言い残して先輩は教室へ戻っていった。
あの優しかった先輩は一瞬だった。
すぐにいつもの生徒会長に戻っていた。
でも、昨日の印象と今の先輩に対する印象は、
私の中で大きく変わった。
もう私は自分が分からない。
分からないけど、涙を流して少しすっきりした。
Next…
次回、教室で…
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。