第9話

第8話
742
2019/07/07 15:26



私は学校に着いてそのまま屋上へと向かった。

とにかく静かなところで1人になりたかった。




全速力で屋上へ向かって、扉を開ける。




ガンッ((






あなた

…え?

井上 瑞稀
いって!
井上 瑞稀
何すんだよ!


扉を開けると、あの生徒会長がいた。


あなた

あ…ごめんなさい!

井上 瑞稀
あ…

お前、入学式の!
井上 瑞稀
ちょうどよかった。

呼び出そうと思ってたんだよね〜





その後、バチっと目が合ってしまった。

私は泣いていたことをすっかり忘れていた。



井上 瑞稀
っ!

お前、何で泣いてるんだよ!
あなた

ヒッ!ご、ごめんなさい!

先輩のせいじゃないので…

ほっておいてください。





人に見られてることを実感し、

いち早く泣き止もうと努力するのに…

自分の中の張り詰めていた糸がプチンと切れて、

溢れる涙は簡単には止まらない。








井上 瑞稀
はぁ…ったく。

ほら、怯えんな。

そういって彼は私に近づき、ハグをした。
あなた

!?!?!?!?

離してください…

井上 瑞稀
俺の顔見ろ。

恐る恐る顔を上げると、

さっきまでの彼と打って変わった優しい表情。

まるで…包み込んでくれているよう。

井上 瑞稀
大丈夫だ。怖くない。
あなた

…っ!



そのまま予鈴が鳴るまで、

私は先輩の腕の中で泣いていた。



何で?って思う自分も当然いた。

あんだけ人と関わらない。

目立たない。って決めたのに。



でも、それ以上に今の私は気持ちに余裕がなくて、

優しい先輩にすがっていた。

先輩を怖い人だと思ってたけど、きっと違う。

温もりを感じて、そう思った。






キーンコーンカーンコーン…






井上 瑞稀
予鈴鳴ったな。戻るか。
あなた

先輩、すみません。

それと、ありがとうございました。

井上 瑞稀
勘違いすんなよ。

仮は返してもらうからな(⌒▽⌒)

如月あなた。
あなた

…え?





そう言い残して先輩は教室へ戻っていった。






あの優しかった先輩は一瞬だった。

すぐにいつもの生徒会長に戻っていた。

でも、昨日の印象と今の先輩に対する印象は、

私の中で大きく変わった。














もう私は自分が分からない。

分からないけど、涙を流して少しすっきりした。


















Next…




次回、教室で…



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