今日は念願のスイカ割りだ。仕事で多忙な日々が続いていたが、有給休暇を取って正解だった。
僕は買ってきた一個のスイカを用意し、目隠しをした状態で棒を構えた。
莉犬くんとるぅとくんが、沈黙しつつも、期待した目で俺を見ている。
僕は棒を思いっきり振った。
「パカァァァン!!」
どうやら、粉々に砕けたようだ。
2人に男らしい姿を見せたのは何年ぶりだろう。僕はさらに棒を振りかぶり、思いっきり振った。
「パカァァァン!!!」
今度もスイカは粉々に砕けたようだ。莉犬くんが歓声を上げてくれた。
しかし、僕が楽しんでいる間に、るぅとくんの声が聞こえなくなった。どうやら眠ってしまったようだ。
今日は本当に楽しい一日だった。僕は散らばったスイカを片付けた後に、棒を振りかぶった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!