レースが終わり企画的には一旦終了した為、VART号の点検も回数が減り練習日も無くなった。
これで会うことも無くなるのかな……。
あなたはVART号を撫でるとシートを被せた。
神様……。
楽な方には行かず……。
振り向いてくれるかも分からない恋に向き合うのはダメですか?
レースに夢中で界人くんとの話止めたままだった……。
いい事教えてあげようか?って言われたままだ……。
気になる……。
打ち上げ!
そだ!
まだ打ち上げがある!
それから数日して打ち上げの日がやってきた。
打ち上げはテレビ関係の人も来る為、ホテルの大ホールで開かれた。
あなたは自分の服を見た。
石川が少しあなたに近寄ると浪川がやって来た。
浪川は他の人に挨拶をしに、その場を離れた。
石川に手招きをされあなたが近寄ると界人があなたの耳に顔を近づけた。
石川はあなたの方に手を置くと「俺も挨拶してくる」といなくなってしまった。
暫くあなたも色々な人を先輩から紹介され、落ち着いたのを見て会場を出て、ソファーに座り靴を脱ぎ足を見ていた。
顔を上げると浪川が立っていた。
浪川はしゃがむとあなたの足首を見た。
そう言うと浪川は立ち上がり、何処かに行ってしまった。
数分すると戻ってきた浪川は、片足を上げて床にしゃがむと「ちょっと触るな」と言うとあなたの足を上がってる足に乗せた。
手当してくれてる浪川を見ながら、石川との会話を思い出した。
浪川さんは……。
その言葉に一瞬浪川の手が止まったように見えた。
絆創膏を貼り終わると、浪川はあなたに靴を履かせた。
私のした質問には答えて……くれないんだ……。
あなたは立ち上がり、会場に戻ろうとすると浪川に腕を掴まれた。
掴まれた腕はすぐ離れた。
目に涙を溜めながらあなたは浪川を見ていた。
石川に声が聞こえるとあなたは走り出した。
浪川は自分の荷物を持つとあなたの後を追った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!