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第1話

悪夢の始まり
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2019/04/03 09:44
中学生になって私。勉強も部活も人一倍頑張っているつもりだ。自分も楽しかった。だが、疲れは急にやってくる。私は「休みたい」とお母さんに言うと、「疲れたのね」と言って休ませてくれた。家でしばらくゆっくりしていると、なんだか外に行きたくなった。そして幼稚園に顔を出すというのを思いついた。仕方ないのかもしれない。学校は疲れるし、私は今でも幼稚園が恋しい程にいい幼稚園だった。
先生もかわってないみたいだし、あの先生と話そうかな。行くのは、何年ぶりだろうか。
どうしてだろう外から見た時、園児が50人程しかいない幼稚園が妙に賑わっている。
一昨年までは弟がいたし、その時も同じなくらいの人数だった。
数年の間に何かあったのだろうか。または保護者や先輩弟子達が集まっていたりするのだろうか。

答えは、後者だった。

だからなんだ。と思うかもしれない。ただ後者なだけなら何も言わないさ。
そう。普通じゃない。

幼稚園の玄関から見えたのは怯えきった園児。聞こえるのは園児の叫び声。怯えさせているのは先生、保護者。そして…処々にに学校の先生までもがいる。
普通じゃない!そう思った私は靴を脱ぐのすら忘れて、まずいつも話しているあの先生の所に行った。幼稚園の廊下を走った時、普通じゃない園児を見て私は心が痛かった。

前田果歩先生。好きな芸能人が私と同じで、話しが合ういい先生だった。嬉しかった嬉しかったのに「嬉しかった」先生は今、歯の抜けている園児に向かって理不尽な怒りを向けている。前田先生が抜いていたのかは分からない。だけど、私は無性に悲しくなって、先生の前で立って何も言えなくなった。
すると先生が
「あら、靴を脱いでないじゃない。駄目よちゃんと脱がなくちゃ。」と、煽るように言ってきたが、そんなのはどうでも良かった。だけど、自分が何をしているのか分からないのかと、ふつふつと怒りが湧いてきて、気づくと私は先生のことを蹴り倒していた。中学生男子に喧嘩で勝てる私にとって、か弱い女の先生を蹴り倒すのは簡単なことだった。

すると先生はいきなり喋り出した

「社会の流れって怖いわよね。この幼稚園がいつからこんなになったのかは知らないわ。私が風邪から復帰するとこうなっていたわ。私も始めは猛反対したわ「こんなの間違ってる」って。だけど、1人の男の子を渡されて、しばらくするといつの間にかいじめてたわ。好奇心を煽られたのかしらね。ま、貴方は何日間持つかしらね。楽しみだわ。頑張ってね」
そう言って、小さい女の子を私に投げてきた。まるで、物のような扱いで。

女の子は私を見て、すぐに逃げていったが、私はわかった。
その子だけ、その子だけだった。歯が抜けてないのは。

くそがぁぁぁぁぁあああ!!!

そんな声が廊下に響き渡った。
「やっぱり…先生が…」そんなことを考えながら追いかけると、自然と涙が出てきた。そんな私の姿を見て、廊下や玄関にいる大人達が、くすくす笑っている。そんなことはどうでもいい。私は気にせず、ホールに入っていく女の子を追い続けた。私からも逃げる女の子は顔を真っ青にして必死に逃げている。
誰にでも恐怖を抱くこの子が、とても悲しく思えた。
私は背中から、優しく抱き上げた。
そして耳元で優しく、安心できるように、「大丈夫」と、一言。そうすると恐る恐る私の方を向いた。私が静かに微笑むと、女の子は私に抱きついて泣いた。この一言だけで泣くとは、女の子がどれほど救いを求めていたか、考えただけで涙が出そうになった。
だけど、今は精一杯女の子の力になれるように涙を堪えて背中をさすった。

私自身、こんなに辛いことはないと思う。だが、これはこれから始まる私の悪夢の1部に過ぎなかった。




















━━━━━━後書き━━━━━━

最後までお読み頂きありがとうございます!
ちなみに1話は、夢で見たものと、幼稚園の設定(園児の人数)は実際に私の幼稚園です!
文書くの、楽しいですね!
ではでは、よろしくお願いします!


次回更新は未定です

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