後ろから思いもよらない攻撃を受けた。
ずいっと出てきたのはオスマン。
ゾムを席に案内した彼女は、そのままオーダーを取る。その伝票をピラっと見せると、「あいつバカみたいに食べるな…」と少し引いていた。
修学旅行で、何度も朝のバイキングをお代わりしていたのを知ってるから。
オスマンは奥でテキパキ働いていたリーダーにそう尋ねると、「いいよー!」と返ってきた。
彼女は私の手を握り、キッチンの外へと連れ出す。
百円ショップで購入した黄色のエプロンを片手で外し、教室を出る。
それからまず腹ごしらえ。保護者会が校庭で出している出店に行き、焼きそばやクレープを二人で食べる。それからぷらぷらと校舎を歩き回り、なんとなくスマホを取り出して二人で写真を撮った。背景に何か写ってるわけでもなく、ただ二人でピースをしてるだけの写真。
結局彼女は、黒髪のウィッグを被ることはなく、亜麻色の髪を一本にしばった。うん、やっぱろそっちの方がよく似合う。
うんうんと頷く。
途中で買ったお茶をぐいと飲む。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。