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第35話


我慢した溜息を思いっきり吐き出した頃には既に衣装直しも終わっていた。食べる量もセーブしているため、男と比べれば格段に細い部類に入る。既存の紳士服を少しだけ詰め、腕を伸ばしたり、前屈してみたりした。
モブ
大丈夫そう?
衣装係の子がそう尋ねるので、「問題ないで」と答える。今まで騒がしかった外野は徐々に部活の準備を始め、「また明日ね」と言って教室から一人、二人と消えて行った。衣装合わせの子も裁縫セットを片付け、「手直し必要なところは部活でやっちゃうね」と言って家庭科室の方へ行ってしまった。
あなた

オスマンも部活行く?

気付けば教室には二人以外の誰もいなくなっていた。隣の教室からはまだ声が聞こえるので、このフロア自体に人はいるらしい。
osmn
せやな…そろそろ行くわ
自分の机に腰かけ、机の中から教科書などを引っ張り出す。それを鞄に詰め込んでいると、既に帰る準備を終わらせたらしいあなたが前の机に座ってこちらを見ていた。
osmn
なんですかー?
あなた

いや?見れば見る程男前だなーと思って。…でもさ、

そう言ってあなたは、俺の頭に被さっていたウィッグをひょいと取り上げた。
あなた

やっぱり私は、こっちの髪色の方が似合うと思うな

ウィッグが外され、中でまとめていた髪がはらはらと後頭部から落ちてくる。前髪だけがウィッグのせいで癖がついたままで、降りてくることはなかった。
あなた

癖ついちゃったね、前髪

osmn
せやな
前髪をちょこちょこといじりながら癖を直そうとするが、上がった前髪は戻らない。
あなた

でもね…うん。こっちの方が好き

osmn
じゃあ、明日はこっちにしようかな
あなた

その方がいいよ

顔にかかった髪をあなたが耳にかけてくれた。睫毛の本数まで数えられそうな程の距離。これは、恋人同士ではない男女の距離間ではない。キスができそうな距離なのだから。
あなた

…どうかした?

どうかしてると思う。耳にかける時に偶然触れたあなたの指が熱くてたまらなかった。でも、離れてほしくなかった。なあ、キスしてもええ?この気持ちが伝えられたらええのになって何度となく考えた。でも、彼女のこの無垢な顔を見るたびに、俺の考えが間違っているということを理解する。
モブ
うわ、びっくりしたー…
それは廊下の方から聞こえてきた。俺もあなたもそちらを見ると、そこには自分のクラスの女子が立っていた。