しばらくして、家入さんと呼びに
行った野薔薇が戻ってくる。
途中で会ったのか五条先生と虎杖さんも来た。
今の様態や体の痛みなど簡単な診察を受けた。
茜に切られたところは跡にならないようしてくれた。
そして、改めて私の家族のこと、
術式のことを聞かれた。
嘘を付く必要を感じなかった私は素直に話した。
お母さんが病気で入院していたこと。
その間、お父様は遊び呆けていたこと。
幼い私に呪具を作るよう強制したこと。
お母さんが亡くなり、お母様となった
しのかからの体罰的な行動。
義妹となった茜からのありもしない噂の数々。
私は彼らを呪ってはいないが、
許されないことをしていたことには変わりない。
それでも彼らを殺さないと思っていること。
術式は初めて使ったこと。
私はお母さんの家系、五月雨家の術式ということ。
呪力で呪具を作れるのだが、
まだ練習不足で上手く調整が出来ないこと。
できるだけ詳細に答えた。
私はまだここにいたい。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。