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2018/10/25

第14話

見たくなんかないのに…
そして、女の人の首に手を回し引き寄せると、


……キスをした。


ーー……っ、


絡まる舌。


濃厚なキス。
うそ…………っ、


……やだ……そんな……っ、



頬に汗が伝っていく。


心臓がズクンズクンと痛む。


嫌だ。見たくない。


それでも、視線を離せなかった。
「ぁ……おかださん……ッ」


ユウの手により服を脱がされていく女の人。


ワンピース、そして、真っ黒な下着。


女の人の身体が露わになる。


そこにユウの手がのびていく。


慣れた手つきで、女の人を抱いていくユウ。


やだ……やめて。


それ以上は、もうーー



けれど、そんなわたしの願いなんて届くわけもなかった。



「……我慢できない……おかださんのが……ほしぃ」



艶かしい声に、ユウは頷く。
そして、ユウと女の人はひとつになった。



淫らに揺れるふたつの影。


わたしは瞬きするのも忘れて見つめた。


女の人に覆い被さり、規則的な動きを繰り返すユウを目に焼き付けていった。セックスしているユウは、それは色っぽくて格好よかった。

わたしは、女の人が羨ましくて仕方なかった。


求めるものを求めるだけ与えてもらっている女の人に嫉妬した。




なぜ……わたしには、してくれないの?

ユウはわたしのことが好きなんじゃないの?

なのに、どうして他の女の人とセックスしてるの?




わたしもあんな風にされたいのにーー



…………。



「……っ、」




悲しくて、つらくて、たまらなかった。
それなのに目をそらせない。


ユウの真剣な表情に魅入った。




嫌悪感が胸に湧く。


行為が終わってもそれはおさまらなかった。



頭の中が悲しみの渦で覆われる。



裏腹に女の人の調子の良い声。



帰り際まで女の人の熱は冷めていないようだった。



「……おかださん、すごくよかった。……わたしこんなにイッたの初めて。こんな……セックス今までなかった……あ、それと契約の件は、任せておいてね。社長に言い寄れば、イチコロだから」


「うん。助かるよ」


「じゃ。おかださん、またね」


そして、名残惜しそうに帰っていった。
途端に静けさが戻ってくる。




ーーやっと、帰った……。



そこで、ようやくわたしは肩の力を抜いた。





最悪な時間だった。

人のセックスを見て、欲情するなんてーー
……身体が熱い。



わたしは、その場に座り込んだ。



「どうだった?」



その声に慌てて振り返る。


ユウがいた。シャワーを浴びたらしく、髪が濡れている。



「ぁ、えっとっ」



さっきまで、女の人とセックスしていた。


そんなユウがいま目の前にいる。




だめ……顔……見れない。



わたしは思わず視線をそらす。


と、ユウがそばへ寄ってきた。そして、覗きこむようにしてわたしを見る。
「あれ、なんで目逸らすの? 杏奈?」


「っ……」


わたしは何も言わずさらに俯いた。



クスクスと笑い声がおちてくる。


「杏奈。こっち見て」


ユウがわたしの顎をクッと上げる。



そして、


「ーーんっ」


突然の口づけ。


身じろぎして離れようとした。

けれど、ユウがわたしの腕を掴む。




「やめて……ッ」


「だめ」
ユウのキスは、苦おしいほど優しい。



さっきまでは、女の人を抱いていたユウ。

許せなかった。



でも、こんな優しいキスをされたら……許してしまう。



ユウはずるい。



キスをしながら腰に手を回し、わたしを引き寄せるユウ。



「ン、……っ」



息継ぎさえも与えてもらえない。


息が乱れていく。


「ユゥ、息が……できな、」


「まだ、だめ」


腰に手を回す力がさらに強くなる。


密着した状態で濃厚なキス。
甘く長い口づけ。



ユウの柔らかい唇。

頬に触れるユウの細い髪。

そして、ユウの味ーー



……我慢……できない。



わたしは、ユウの首に手を回すと、自分から求めた。



ユウとのキスに夢中になった。


わたしのキスを優しく受け止めてくれるユウ。


それが嬉しくてたまらなかった。




ユウがゆっくりと顔をあげた。


「杏奈……すごく積極的」


「ッ……」


「いやじゃないの?」
「……うん」


「どうして?」


「あ、そ、それは」


「もしかして……嫉妬?」


「ッ……そ、んな、じゃ」



わたしは恥ずかしくて口を噤んだ。




図星だった。

ユウはわたしに夢中なんだと思ってた。けど、違う。ほかの人ともセックスできるくらい、軽い気持ちだった。

それを知って、嫉妬心に火が灯った。

ユウはわたしのもの。

だから、だれにも渡したくない。



監禁されたのはわたし。


けれど、今は違う。


自分から望んで、ユウを求めている。
言いたくない。


でも、言わずにはいられない。



だって、言わないと……また他の人に取られてしまう。




顔を上げた。

それから、ユウをジッと見つめる。

すこし驚いた顔のユウ。


「杏奈?」


わたしはゆっくりと口を開いた。


「監禁するなら、責任もって……わたしのこと見てよ……」


「え?」


「なんで……あの人とはするのに、……わたしには、……してくれないの?」


「……杏奈、それって」


「わたし……ユウと……セックス……したい」
こんなこと言いたくなかった。


でも、言ってしまった。



自分からしたいなんて、恥ずかしくて情けないことをストーカーに。



わたし、なんて淫乱なの……?




もぅ……やだ……。


涙がこぼれそうになった。