第16話

これからも監禁されていたい…
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2018/10/25 13:41
ユウが好き。

大好き。

だから、わたしは逃げない。

どこにもいかない。

わたしはあなただけのもの。
ずっと監禁されていたい


なんて思うわたしって


おかしい、かな
でも、


足りないの


そうでもしてくれないと


足りないの
ユウに監禁されて、一ヶ月が経った。

と言っても、実際は監禁されていない。



仕事にも行くし、ときどき自分の家へも帰る。
ユウと初めてセックスしたあの日、彼はわたしを自由の身にしてくれた。


「家に帰っていいよ」


彼はそう言った。

携帯も財布もすべて返してくれた。



正直、帰りたくなかった。

監禁されたままでよかった。

わたしをこころから愛してくれる人。

ユウがいれば、なにもかも失ってよかった。



すべてを捨てる覚悟があった。


「家に帰らなくていい。仕事もやめる」


けれど、彼はそれを許さなかった。


「そんなのだめだよ」


ユウは顔を横へ振った。


「なんで?」


「ぼくは、今の杏奈が好きなんだ。杏奈の魅力を奪いたくない。だから仕事はこれまでどおりつづけてほしい。監禁してたぼくが言うのもなんだけど」
ほんとうにその通りだ。

監禁した本人のセリフとはおもえない。


けれど、ユウがそれを望むなら仕方ない。


しぶしぶ了承した。




そして、久しぶりに自分のアパートへ戻った。



家に帰るとまず、職場に連絡した。


何度も頭を下げて謝った。


同僚からも何があったのかと訊かれたけど、笑ってごまかした。



「急に旅行へ行きたくなっちゃって。心配かけてごめんね」



ユウのことは一言も言わなかった。



翌日から仕事へ行った。


わたしは何事もなかったように働いた。


けれど、それは形上。


仕事が終わると、自宅へは向かわない。


ユウの家へ行く。
インターホンを鳴らす。


ドアが開いた。


愛しい人がわたしを待ちわびたように出迎えてくれる。


「おかえり、杏奈」


「ただいま」


わたしはユウに向かって微笑んだ。
ーー


家へ入るとユウはわたしに手錠をはめる。

そうすることで、安心するのだと彼は言った。

わたしはそれを受け入れる。



「今日も、ちゃんとぼくのもとへ帰ってきてくれたね」


「うん」


「可愛い杏奈」


わたしをやさしく抱きとめるユウの声。

色っぽくて、ドキドキする。



「ねぇ、今日の仕事はどうだった?」


ユウは今日の出来事を訊いてくる。

それに対してわたしは、ひとつひとつ事細かに説明する。

どんな小さなことでも報告する。


「そうなんだ。ありがとう」


報告したあと、彼はご褒美をくれる。
繰り広げられる甘い愛の交歓。


「ぁ、……ッ」


「ここ、触られるの杏奈好きだよね」


「んっ、……」


「気持ちよさそう。可愛い」


ユウの甘い声にわたしの身体は熱くなって、止まらなくなる。

なにもかも、ユウのものになった気がして満たされる。



監禁。

その言葉は今は違う気がする。

けれど、ユウはたびたびその言葉を使う。


「監禁してごめんね」


「いいよ」


「杏奈がいやだったらやめるよ」


「いいってば」


申し訳なさそうなユウにわたしは、必死にすがりつく。
ユウはいつもどこか不安そうだった。

ときおり強くわたしを求めることがある。

わたしはそれを必死で受け止める。

狂おしいほどの愛。

けれど、どんなに受け止めても、

彼の目から「不安」の色が消えることはない。



なぜ、そんな目をするの?

わたしはそばにいるのに。

安堵していいのに。

離れるつもりなんてないのに。




だから、監禁されてるつもりはない。


毎日ここに帰ってくるのもユウに繋がれるのも、わたしがそれを望んでいるからだ。


束縛されたい。


ユウに縛られたい。


わたしは、ユウを愛してしまった。




たとえ、それがストーカーだった人であっても関係ない。



わたしを愛してくれる。


大切にしてくれる。


それで、じゅうぶんだった。
愛している


なのに


なんで


足りないの?

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