-朝
ピピピッピピピッ
耳障りな音で目が覚めた
朝は不思議なもので。
目はぱっちり覚めているのに
何故か起きられない。
母「ーー!」
あぁ。お母さんが呼んでる。
「はーい」
軽く返事をして起きた。
冬の朝は異様に体がだるい。
今流行っているインフルエンザの気がする。
リビングに向かう。
「おはよ」
と小さく言って体温計を手にとった。
脇に挟んで少し待つ。
ピピッと鳴って脇から外す。
36.1℃。
まあ分かっていた。
インフルエンザと思って熱を測るのも
今日で3日目になる。
母「熱あったー?」
「ない。」
母「やっぱりね」
分かっているなら聞かないでほしい。
ああ。だるい。
今日は木曜日。
あと少しで土日に入る。
母「はい、ご飯」
おにぎり2つ。トマトジュース。
朝はお腹が空かない。
おにぎりを2つ食べただけで
少し吐きそうになる。
でも食べておかないと。
今日は3時間目に体育がある。
4時間目の退屈な理科の時に
お腹が鳴るのはごめんだ。
髪をサッと結んで
トイレに行って制服を着て。
歯磨きを済ませた。
バックの中に一つ小説の本を入れ、
家をあとにした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!