第2話

絶望と希望
27
2018/04/17 12:39
悲しむ時間なんて残されていなかった。1番苦しい人が、笑って私を見送った。ひどく苦しんでいるはずなのに、そういう素振りを何一つ見せなかった。その日は、近くの親戚に連絡を取り送ってもらった。血を吐く思いで真実を伝えた。誰も私を責めない。お前は長生きしろと、昼から何も食べてなかった私に 夕食を持たせてくれた。本当は頼りたくなかったが、私は家に帰らなければならなかった。家に着いた私は、愛猫から心配そうな声で出迎えられる。涙が溢れて抱きしめた。遅くなってごめんね、とゴハンをあげた。
そして、家の電話が鳴った。
何年も交流していなかった2人の肉親と話した。1人は、一緒にいてくれてありがとうと、お礼を言った。また辛くなった。
(一緒にいただけなのに)
もう1人は、これからこの番号からかかってきたら絶対取れと、言った。

心がどれだけ拒絶しても、連絡を絶っていた身内とこれから連絡を取り合い助け合っていかなければならない。それが、彼女のため。私一人でなんて何もできないのだから。一月半の闘いが始まった。

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