第5話

駆け引き
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2019/04/04 13:43
あなた

ハァハァ………なんですか?

クラスの人気者が俺を引っ張ってくとか……小説かよっ!(小説です)

なんでこんな展開になったんだ?
サナ
サナ
あの、お願い!!
このことは黙ってて。
俺に頭を下げてくるサナさん。

よほどバレたくなきゃ、俺に頭は下げないだろ。

てことは絶対にバレたくないんだ。
あなた

な、なんでタバコなんて……。

サナ
サナ
もう、疲れたんです。
サナさんはため息混じりにそう言った。
あなた

疲れた?

サナ
サナ
私、小学校の頃にイジメられてたんです。
あなた

え……?

サナ
サナ
その頃はすごく太ってて、ブスで。そのことでイジメられてて。
ダンススクールに通ったのも、それがきっかけなんです。
中学校は遠いところを選びました。
中学校では、ダイエットもしてメイクも頑張って。
たくさん男の子の友達が出来ました。
そしたら次は、男に媚びてるなんて言われて。
そんなつもりなかったんですよ?
あなた

………。

サナ
サナ
高校では、クラス全員に好かれようって。
人気者になったのは良かったけど、
いつの間にか、自分が自分じゃないみたいで。
あなた

それで……タバコを?

サナ
サナ
それだけじゃないんです。
モデルの仕事で上手くいかなかったりすると、
ストレスがどんどん溜まっていくから。
あなた

そうなんですか……。

サナ
サナ
お願いです!
このことは誰にも!
あなた

分かりましたけど……。
タバコは今日限りで、やめません?
せっかくの大事な体が悪くなっちゃうし。

サナ
サナ
分かり…ました。
俺がうなずいたと同時に、強風が吹いた。

俺の目までかかる長い前髪が、向かい風のせいで上に上がる。
サナ
サナ
え?
ヤバイ、気づかれたか。

俺の秘密が……。
サナ
サナ
めっちゃイケメンじゃないですか!!!
あなた

え?

気づかれてなかった。

いや、半分気づかれた?

そういえばみんなに、俺の秘密を教えてなかったな。

実は、俺はね………。

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