死ネタ含みまくります
一応フクロウは4では死んでいないので、生きた設定で突き進みます。
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私の知っている人は様々な人が死んでしまっている。
死んだ人も勿論悲しいだろうけど、遺された人達もその人と同じくらい悲しいんだ。
酒呑くんは悲しくないのかな…洞潔先生を失って…
「……」
そういえば、過去の世界のシンくんもイツキくんを失っているもんね。
一応今ではエンマ様として存在しているけど…
でも、イツキくんとエンマ様はきっと別に認識しているはず。
トウマもドグ達が入っていなければただの屍。
「……なんだか、悲しいな……」
誰かを守る為に死んだくせに、
誰かを笑顔にしたくて死んだくせに、
守られた人は罪悪感に苛まれて、喪失感に包まれて涙を流してしまう。
_「な、ナツメさん?どうして泣いてるの……」
背後から聞こえたのは、優しい少年の声。
振り返ると、つんつん頭の星がトレードマークの男の子。
私は彼の名前を呼ぶと、彼はふにゃりと笑った。
ケータ「なにかあったの?俺で良ければ話聞こうか?」
___「どうしたんだ、ナツメ。俺で良ければ話聞くぞ」
お父さんは、昔でもお父さんなんだ。
普通な優しさを持ち合わせていて、それがとても心地よい。
お父さんのこういうところが大好きなんだ。
「ケータくんって、沢山旅をしたんだよね?…いっぱい誰かが死んじゃったりした?」
ケータ「…うん、悲しい過去を持った敵とか倒すとなんだか悲しくなるよね」
ケータくんは眉を顰めて、私にそう言った。
私は「そうだよね」とケータくんの方を見る。
ケータくんの目のひかりは消えていなかった。
ケータ「ナツメさんはたくさんの人を失っちゃったんだよね」
私は少し泣きそうになる。
目に染みる青い空。
耳に染みる優しい声。
指はぴくぴくと痙攣していた。
ケータ「前に、ある妖怪が言ってたんだ。どうせ死ぬのを早めているだけだって」
「…!」
ケータ「でも俺はそんなの納得できなかった」
少しでも私はその言葉を信じてしまった。
ケータくんはその言葉を信じず、顔を歪めていた。
私はケータくんの顔をみて、言葉を待っていた。
ケータ「例え死んじゃう運命だって、俺は生きて欲しい。運命だから失われるのは納得できないよ」
ケータ「だから俺、みんなを守れるような人になりたいんだ!!みんなで、みんなを守りたい!」
なんて純粋なんだろう。
なんて優しいんだろう。
これだから、お父さんは…
「ふふ、ケータくんひとりじゃなくて、みんなとなんだね」
ケータ「俺ひとりじゃ守れるものも守れないしね…」
少し小っ恥ずかしそうに笑うケータくんに、心の中で否定しといた。
違うよ、ケータくん。
貴方の優しさに助けられた妖怪はどれだけいるか分からないんだよ。
貴方が優しいから、今もウィスパーとジバニャンは貴方の近くで見守っているの。
もう、未来のウィスパーとジバニャンはほんと、素直じゃないんだから。
ケータ「な、ナツメさん!?どどど、どうしよういっぱい泣かせちゃった……」
「違う、違うのよ…ケータくん優しすぎて私には受け止め切れなかったんだよ…」
うちのお父さんは偉大だ。
優しくて、いろいろなことを経験していて、かっこよくて。
誰からも信頼されていて、……
ウィスパー(現代)「ケータきゅーん!!探したんですよ!!」
ジバニャン(現代)「あっついニャ〜…ケータ、現代に戻ってクーラー効いた部屋でゴロゴロするニャ」
ケータ「ちょ、暑っ苦しいよふたりとも!!」
抱き着いてくる二匹を暑そうに引き剥がそうとするケータくん。
仲が良いなあ…
「……ふふっ」
私もみんなでみんなを守れるような、かっこいい人になろう。
友達に優しくて、友達に好かれて、友達と一緒に戦って。
そんなことを考えて、ふと思った。
「(妖怪に凄く好かれているうちのお父さんは)」
どうやって死んでしまうのだろう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。