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俺がヒーローに憧れた理由。
それは本屋でたまたま見つけたガッツ仮面だった。
そりゃあもう、グサッと俺の心に刺さった。
ひとりでなんでもできるガッツ仮面に憧れた。
誰にも頼らずに、ひとりでなんでもできるガッツ仮面に。
「友達なんていらねえ。助けたけりゃ自分で助けろ」
他人より、自分の方が信じられるに決まってるじゃねえか。
………そう、思ってたのに。
ケータ「ちょっとウィスパー!ほんっと使えないなあ…」
ウィスパー「使えないってなんすか!!これでも私有能執事のウィスパーでございまs」
ケータ「あーはいはいすごいですねー」
ジバニャン「ほんとあそこのふたりは仲良しニャンねえ」
アイツはひとりじゃない。
【仲間】がいて、その仲間の力を自分の力にできる奴だ。
そんなアイツの背中は、俺なんかより……
俺なんかより、ずっとずっとかっこよくて、ヒーローみたいで…
こんな俺には、トモダチなんて…いるわけねえって、そう思ってた。
気づいた時にはもう、遅かったと思った。
フユニャン「?ケイゾウ、どうした?」
ケータ「おーいケイゾウ!ここの川、いっぱい魚がいるよー!」
ジバニャン「じゅるり…これを塩焼きにして食べれば美味しそうニャンね!」
ずっと隣にいてくれて、俺が突き放しても、ずっと一緒にいてくれた奴も。
俺の周りで、ずっと俺を見守ってくれた妖怪達も。
ヒーローを教えてくれた、あいつらも。
やっぱ俺は、視野が狭いなあ。
「おう!今行くー!!フユニャン、行こうぜ!!」
俺が、ヒーローに憧れた理由。
俺が、ヒーローとはなにかを見つけた理由。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。