第32話

かみさまよ
852
2021/08/03 01:57














シクシクシク………







天気の神様として崇めされているのは妖怪だ。
晴れ男と雨女の娘となる、ハレ女だ。


ハレ女はシャドウサイドの姿が雨女になる。


彼女はシャドウサイドの雨女の姿のまま、ライトに戻れないようだ。
その為ある地域では雨が降り積もって作物が凶作で困っている。




そしてやらなければいけなかった。







神様に生贄を捧げる儀式を__







村人「たしか、この生贄ってある時計をつけた奴が良いって聞いたぞ!」
村人「古代から伝わる時計………『妖怪ウォッチ』だな?」





村人「そういえば、さくら住宅街に遊びに行ってる奴がいる!ソイツにも探させよう!」











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「ここは…?」





目が覚めると石でできた壁、像。ステンドガラスでできた綺麗な窓。
窓から外を覗けば雨が降っていて、湖のような場所があった。

俺はなんとかここから出ようとしたが、ここは牢なのだろうか。


出る場所は鍵が掛かっていた。




普通にお使いを頼まれて、ウィスパーとジバニャンは暑いからと家で待機してて。
卵と牛乳を買おうとヨロズマートに向かう途中に誰かに口を布で隠された。

なんだか変な匂いがして、その匂いが俺の頭を支配して。


意識がだんだんと薄れていって、いつのまにかここにいた、というわけだ。








「ウィスパー…ジバニャン…」






俺は心細くなっていると、「メダルを使えば!」と思ってメダルを探したが、ちょっと外に出るだけだしと置いてきたことに気が付いた。
それじゃあポケットうんがいで…とも思ったが同じ理由で置いてきた。


俺は戻る方法がないようだ。






雨女「……ケータくん?」





「…!雨女?なんでここにいるの?」
雨女「ここは…私が崇められている所なの…」
「あがめ…?あがめられる、ってなに?」
雨女「知らない。お父さんがそうやって言ってたの」






とにかく一人じゃない心強さがあった。
雨女は嬉しそうに俺の隣に来てお話をしてくれた。

俺はその話をよく聞いていた。






「そういえばここ、てるてる坊主が多いね」
雨女「うん…色々な子がいるでしょ?私、それが悲しくて…」
「どうして?晴れる為に飾ってるんじゃないの?」



雨女「そうなんだ…こんなのじゃ、私笑顔になれないよ…」






俺は雨女の言い分を聞いてなんとか納得した。
雨女はすごく辛そうに顔を顰めた。

雨の落ちる音がこの部屋に響く。俺達の声は何も聞こえなかった。



ああ、今何時だろうか。今頃みんな何してるんだろうな………








雨女「でも、ケータが来てくれて嬉しいな」
「俺も心細かったからさ。雨女がいてくれて心強いよ」
雨女「ふふ」









そう笑ってから雨女は口を開いた。
だが俺は少し眠くて。

睡魔が俺の中を支配して俺は雨女の声も聞かずに寝てしまった。








雨女「ケータも__」












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ゴトリ。







そんな音に目が覚める。
目が覚めてあったのは、牢の中にあるパンひときれ。

牛乳や水なんてものは置いていなかった。


俺が寄りかかって寝ていたのは雨女。
雨女もぐっすり寝ていて、俺はなんとなく動けなかった。




するともぞもぞしているのに気が付いたのか、雨女も起きた。







「ごめんね、起こしちゃった?」


雨女「ううん。暖かかった」





なんとなく質問の答えになってないなと思いながらも、牢の中にあったパンをとってきて、2分割にした。
そして雨女に一切れあげると恭しく嬉しそうに受け取った。

一緒にかぶりつくが、俺は食パンは焼いて食べる派なのでなんとなく生食パンは美味しくなかった。






雨女「おいしいね」





美味しそうにもぐもぐ食べる彼女を見て、俺も笑って「おいしいね」と言った。
あまり美味しくないと思ったけど、やっぱり美味しいかも。

なんて思いながら、俺はもうひとかじりした。



雨女のことを見ているとなんだか落ち着くな…






「…ここ、少し…いや結構臭いよね?消臭かけたいね。」
雨女「綺麗にしてくれる妖怪とかいるの?」
「うーん…アライ魔将とかかな?かたづ家来も」
雨女「ふふ、そんな妖怪がいるんだ。物知りだね、」






俺は嬉しそうに俺の話を聞いてくれる雨女を見つめながら食べ終わった食パンのお皿をまた置きに行く。
雨女は手を合わせて「ご馳走様でした」と言っていたので、俺もしておいた。


それを見た雨女はまだ嬉しそうにしていた。



俺はそんな彼女を見て、俺も嬉しくなった。






雨女「ケータ………」








泣きそうな彼女の顔も知らずに。













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ここに来てから1週間が経った。


食パンもそろそろ飽きてくるし、物足りない。
二日に一回は牛乳も付いてくるが、それだけじゃ脱水症状ものだ。



俺は空腹のお腹を押さえながら、石の像に駆け寄る。






「これ、雨女みたいだね…あ、お母さんの方ね。」

雨女「うん、伝説上のお母さんの姿なんだって。綺麗だよね。」






そんな雨女の姿。
晴れ男っぽい像もあるっちゃあるが、あれに関しては変わりすぎだと思う。

イケメンすぎるし。あんなイケメンじゃないよ、晴れ男。






「うん、とっても綺麗だね。」











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「お母様…息子さんが発見されました」


「どこでですか!?」









「ある深い深い森の奥にある小さな村です…」



















【次のニュースです。】








【ある村で多数の遺体が発見されました。】







【村は燃えたり凍ったり等して、村人達はそれにより多くの人が亡くなりました。】











【昔から雨が多く、その雨をやませる為に天神様に生贄を捧げていたといいます。】









【その人達は大体村の若い人ですが、最後の生贄だけ攫った人だったと言います。】





















【そして儀式の方法は間違えていて、これは“雨乞いの儀式”だったと専門家は言っています。】






















*











雨乞いの儀式。






それは昔ある村がずっと太陽が照り付けて凶作が続き、飢饉が多く発生したことで行われた儀式です。
神様と何週間か生贄は一緒に過ごし、そして神様の目の前で殺す。



すると神様は清い涙を流し、それが雨へと繋がるというものでした。






神様は黙って見ていることしかできませんでしたが、最後の生贄の場合は違いました。






村人に捕まれ、黒い布を被されて糸に括られる時。
彼は必死に抵抗していました。

それを見た神様は怒り、狂い。



雷は落ち、風が強くなり、雨はバケツを真っ逆さまに落としたように降って来ました。







それでも儀式だからと生贄がまたひとりと増えました。









大好きな彼の、大好きな人の尊い命が旅立った瞬間、この村は不思議な力で消えたと言います。






空から氷が降ってきて、急に火が燃え盛って、雨が火を消すくらいに降ってきて。

なんとも不思議な光景だった。
火は雨に当たっても消えず、雨はこれでもかというくらい降って。




村人は皆、こう思った。










が怒った』と。




























「けーたぁ…」

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