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第16話

XVI
「·····なんだ、コレ。」

購入した商品履歴には、多くのオカルト本。

おまじない、黒魔術、魔法陣、非科学的理論、呪術書、死神召喚の儀式全集·····。

60年近く前のものから、最近のものまでざっと30冊はあった。

驚きすぎて思わず息をするのを忘れたほどだ。

彼女がこんなことに興味があったなんて知らなかった。

ベタな恋愛小説を好んでよく読んでいたのは知っていたが。割と周りに影響されやすいため、甘い物語を読んだ日にはキスをねだられる。そのたびに反応に困ったものだ。

いくらなんでもこれ以上覗いちゃまずい。

僕にさえ言わなかったということは、隠したい趣味なのかもしれない。

誰だって秘密にしておきたいことがある。

見なかったことにしようと、スマホをしまった時、近所の書店カバーが付けられた本が目に付いた。

ちょうど、僕が使っている現文のテキストと同じくらいの大きさだ。

パラパラと数ページめくる。

「·····何だ、これ。」

僕はこれを参考書だとずっと思っていたのだ。

蛍光ペンが引かれた場所には『黒魔術を行うには生贄など、願いと同等な価値のある物が必要である。』書かれていた。

「なんなんだよ、これ·····。」

急いで他の本も開く。勉強の本は今、机に置かれているものだけだった。

ノートには数学の途中式が書かれているが、他のページには勉強のことは一切書かれていない。


焦りによく似た不安が僕の胸を黒く覆っている。


なんとか息を吸い、ゆっくりと口から吐いた。こうでもしないとどうにかなりそうだ。


彼女はまだ僕の追いつけない場所にいるのだと、無感情に突きつけられた気がした。



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柚季 栞音 __ ゆずき しおね
柚季 栞音 __ ゆずき しおね
積み重ね、適度に。 オリジナル小説を書いている方とお話したいです。
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