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第8話

VIII
 「2年前·····、優月が死んだんだ。僕のせいでっ。」




今まで張りつめていた糸がプツンと切れたように。


ひとこと言い終わると同時に我慢していた涙がとうとうこぼれ落ちてしまった。

とっさにそれを拭おうとしたら、柔らかい感触があった。

頬をなぞるように優しく雫をぬぐい取る指。


瞳をとじるとまたひと粒、ひと粒と頬を伝う。優月はそれを見て静かに微笑んでいた。これ以上言わなくていいよ言うように、ぎゅっと抱きしめてくれる。



「夢、かもしれないけど·····さっ、どこか現実味が、あった。生々し、かった。」


それを言うのでさえ、僕は途絶え途絶えで。

それでも、頷いて聴いてくれる。



「夢だとしても、だよ」


「う·····ん·····」


「ほんとに·····、苦しかったよね。1人で戦うなんて。自分を責め続けるなんて。」


「優月·····。」


「大丈夫だよ。私はどこへも行かないから。」


「ふ·····う·····」


「私はここにいるよ。大丈夫。泣きたかったら、泣いていいよ。たくさん泣いて。我慢しなくていいんだよ。そばに居るから。」


背中にまわった手がゆっくりと撫でてくれる。




「ゆづき·····ごめん。」



こんなに情けなくてごめん。


いつぶりだろうか。声を震わせて泣いたのは。


ぜんぶぜんぶ優しく吸収してくれるから、また甘えてしまう。

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柚季 栞音 __ ゆずき しおね
柚季 栞音 __ ゆずき しおね
更新が少し遅れてしまうと思います。気長に待っていただけたら幸いです。 オリジナル小説を書いている方とお話したいです。
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