無料ケータイ小説ならプリ小説 byGMO

第20話

*
「私は君の優しさを誰よりもわかっているつもり。」

「それは質問の答えになっていない。」

優月は僕の方を初めて振り返った。

「未練が、あったから。君と生きた世界に心残りがあったから、成仏せずまだここにいる。」

「未練って、何?」

亡くなってもなお、彼女を縛りつけるもの。

「君、だよ。」

間髪入れず、続けた。

「ねぇ、これ綺麗でしょう?」

そう言って彼女は胸元の青を空にかざした。

悲しみも、苦しみもすいとるようにまっさらな深い青。

半透明なシーグラス。

それは先ほど見た時よりも、ひとまわり小さい気がした。

「これは君と私のわだかまり。」

簡単に言うとね、と小さく息をついた。

「未練の結晶なんだ。」

「これが完全になくなるとき、私はこの世界にもういちどさよならするの。」






_______________もういちど 。






1度目のさよならは、もちろんあの夏だ。








彼女が交通事故にあいかけた次の日、僕たちは海に行く約束をしていた。

だが、僕は昨日のこともあり、合わせる顔がなくて部屋で本を読んでいた。

彼女もきっと来ていないだろうと思って、行かないことは告げなかった。

そして、次の日の朝、彼女は浜辺に打ち上げられているところを、近所の人が発見したのだ。




僕があの時、あんな言葉を言わなければ。


僕があの日、海に行っていれば。


ありふれた言葉では表しきれないほど、後悔した。





後悔して、



懺悔をして、



泣いて、



泣いて、



泣いて、



今にたどり着く。

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

柚季 栞音 __ ゆずき しおね
柚季 栞音 __ ゆずき しおね
積み重ね、適度に。 オリジナル小説を書いている方とお話したいです。
恋愛の作品もっと見る
公式作品もっと見る