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第7話

VII
 夏休み前の夕方なだけあって、全然人がいなかった。

人影を感じない、砂浜の少し上に、夜の始まりを告げるような優しい眼差しで明るく照らしながら私たちを見守っている夕焼け。

潮が薫るこの場所で、レジャーシートを引いて二人で何も言わずに体育座りをしていた。

目をつぶって音を、風を、気温を感じながらゆっくりと時を過ごした。


だんだんと沈んでいく日差しの影響で、優月のエクボや鼻筋の影が濃くなっていく。


「それ、綺麗だね。」


胸の上あたりにある、首からチェーンで繋がった青いシーグラスの輝きは、そのままだ。それが何だか哀れに見えた。

「ありがとう。」

沈んでいく陽を引き止める弱々しい様子が切なくて、周りの流れに逆らうように見えて、孤独な光だった。


「ねぇ、優月。ちょっとおかしな話聞いてくれる?」


優月に知って欲しい。

その想いが強かった。

信じてもらえなくてもいいから、

笑われてもいいから、


聞いて。



「·····うん。」


よっこらせっと体を起こしながら目を合わせるように僕を見た。



「これは夢なのか、想像なのか詳しいことはよくわからないんだけれど。」


僕がずっとずっと囚われていた幻想を。

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柚季 栞音 __ ゆずき しおね
柚季 栞音 __ ゆずき しおね
積み重ね、適度に。 オリジナル小説を書いている方とお話したいです。
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