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第23話

「私が生きた16年間は、とてもかけがえのないものだった。」

「僕もだよ。」

優月は口元をほころばせる。

「陸斗は違うよ。まだまだこの先も続くでしょう?」

笑った顔のまま、泣いた。

ぼろぼろとこぼれ落ちた彼女の涙は、ぽつんとシーグラスにあたった。

するとホタルのように青白く発光をし、何かにむしばまれるようにじわじわと縮んでいく。

優月はそれを手に取り、また泣いた。

今の彼女は見ていられないほど、壊れそうではかない。その涙はまるで、血が流れるようだ。

微笑んだまま涙を流したのは、彼女の優しさだと思う。

「幸せ、だったの。」

「·····うん。」

僕も、幸せだった。

彼女のすべてを受け入れるように、強く抱きしめる。

だんだんと実体が無くなるように透き通っていく素肌を、まだ引き止めていたかった。

「最後にお願い。」

僕たちは向かい合う。

「陸斗は陸斗のままでいて。

自分を責めたり、無理に変わろうとしないで。

私がだいすきな君でいて。」

シーグラスだけでなく、彼女も白く発光している。

「君のしあわせは、私のしあわせでもあるから。」

僕たちは鏡。

けれどもうそこに映るのは、僕たち自身だ。

「·····わかった。」

長い長い2年だった。

ようやくその物語にエンディングがおとずれる。

寂しさをかみ殺し、僕は言う。

「僕も、優月がだいすきだ。」

彼女はゆっくりと大きくうなずいた。

僕がとじたまぶたを次にひらいた時、もうそこに彼女の姿はなかった。

シーグラスの青白い光だけが静かに砂浜に散っていた。

僕はその砕けた青に手を伸ばす。










_______________光り輝き、悲しみの先へ


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更新が少し遅れてしまうと思います。気長に待っていただけたら幸いです。 オリジナル小説を書いている方とお話したいです。
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