無料ケータイ小説ならプリ小説 byGMO

第11話

XI
「たーまや~」

人が少ない境内の裏で静かに空を眺める。
色とりどりに咲き誇る花火は、優月の瞳をさらに輝かせた。

「かーぎや~」

「誰もいないんだから、叫んじゃえばいいのに。」

「嫌だよ。誰かに見られたら恥ずかしすぎる!」

「君に羞恥心なんてものが存在したんだね。」


金魚すくいで、浴衣の裾を濡らしながらデメキンを取ってはしゃいでいたのは誰でしたっけ?

屋台のおじさんに褒められていい気になっている姿を、何人もの通行人が、注目していたっていうのに、あれは恥ずかしくないんだ?

そう言いたいのをぐっとこらえて、僕も空を見上げた。

「あ、ハート型。」

僕が小さくつぶやくと、

「これを見た恋人はずっと一緒にいられます。」

と、得意げに彼女が笑う。

「永遠に一緒ですか?」

ふざけて言ってみた。

「·····。えいえん、ではないです。」

「え?」

「でも、幸せにはなれます。きっと。」

満面の笑みでそう言うから、それ以上は聞かなかった。


優月が永遠を否定した意味を、この時の僕は、まだ知らない。

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

柚季 栞音 __ ゆずき しおね
柚季 栞音 __ ゆずき しおね
第21回プリコン応募作品「モンブラン」 チャプター数が多くなることが予想されます。あらかじめご了承ください。 オリジナル小説を書いている方とお話したいです。
恋愛の作品もっと見る
公式作品もっと見る