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第22話

「2年間見ていてわかった。君は、とてもやさしい。ずっと前からわかっていたつもりだけど、やっぱり君はやさしい。」

「そんなこと·····!!」

僕の言葉を遮るように、くすくす笑う。

「あの事故がきっかけで、君は見失った。·····君を、失くした。」

彼女がいない毎日を笑って過ごすことが受け入れられなかった。それは愚かで、哀れだとしても、それが。

「ねぇ、もういいんだよ。」

それしかなかったんだ。僕にできることなんて。

どんな形であれ、優月に誠実でいたかった。

「君と私は、鏡。」

「嬉しいことも、悲しいこともはんぶんはんぶんで生きてきた。」

「だからといって、その虚像にとらわれちゃだめだよ。」

彼女の頬に、つうっとひとすじしずくが流れ落ちた。

ほんとんど沈んだ夕陽が弱々しくそれを照らす。

「君が君を許せないように、私も、私のせいで君が傷ついてしまった事実を許せなかった。」

そしてようやく気づく。

彼女の、未練。

「もういちどあの頃に戻りたいと強く望んだの。でもね、」

そんなこと出来るわけないから、一部の人の記憶を操作して、あの夏の続きを作った。

「陸斗の隣にいると、やっぱりほっとして、嬉しくて、幸せだった。

だから、この時間がずっと続くように、色んな本を読んでこの世界にとどまる方法を探していたの。」

君がリュックをあさったのは予想外だったけれどね、と笑う。

「やっぱり無理だったんだけど。」

そう言ってシーグラスをつまむ。

もう、ドロップの半分の大きさしか無かった。






確実に、

その時が近づいている。

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柚季 栞音 __ ゆずき しおね
柚季 栞音 __ ゆずき しおね
更新が少し遅れてしまうと思います。気長に待っていただけたら幸いです。 オリジナル小説を書いている方とお話したいです。
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