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第6話

VI
 あの夏に終わりはなかったと言えるなら__________。







僕はそれを、強く望む。

目を閉じて見るものより、君のいる世界が「正解」だと、僕は信じる。





眠るか眠らないかくらいでウトウトする時、不思議な感覚に取りつかれることがある。


わかりやすく表すと、浅すぎる眠りで、夢と現実との境目を上手く把握できないという状況に陥るのだ。


普通にじっくり寝て見る夢とは違う。映像を見ているような、まどろみの中にいる、そんな感覚になる時。


その間、自分がどこにいるかも、誰なのかもわからなくなり、その夢の前後は意識が迷子になってしまう。白昼夢に近いかもしれない。





これが、それに似たような体験ならば。




今の今まで、僕が『寝ぼけていた』ということで解決する。ただ夢をズルズルこの瞬間まで引きずっただけということになる。





「優月ー。1時間目英語?」

「そうだよ。」

「うわぁー。単語テストやばいかも·····」

「陸斗、英語得意って言ってなかったけ?」

「んー·····。助動詞だけかな。」

「なんじゃそりゃ。」




この場面はあまりに自然だった。


雲が空に浮かぶように、木が木陰を作るように、なんの違和感もなかった。


なんだか背中がムズムズするよう照れくさくて、この距離が、この会話が今はとても嬉しい。



夏に似合わないような心地よい風が、そよそよとポニーテールの先を揺らした。


ふと外を眺めると、窓から吹く風で波打つカーテンから、力強い光が差し込んでいた。


まぶしくて顔を背けると、僕を見てにぃっと、笑っている優月と目が合った。


僕もにぃっと笑い返した。

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柚季 栞音 __ ゆずき しおね
柚季 栞音 __ ゆずき しおね
積み重ね、適度に。 オリジナル小説を書いている方とお話したいです。
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