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第1話

sweet
271
2021/01/18 08:16
ぼく
またカフェラテ?甘いの苦手だからなぁ、美味しい?
あなた
うん?美味しいよ。甘いのがいいんじゃない
ぼく
そうかな?ぼくはブラック派だけど…
 その瞬間、彼女の甘い香りと柔らかな唇がぼくの唇に重なった。
 たった一瞬、だけどその時間は永遠のようにも思えて、今でもはっきりと覚えている。

 甘いカフェラテの味が仄かに口の中に広がって、ぼくから離れた彼女は満面の笑みで
あなた
ね、美味しいでしょ?
 ぼくはすぐに答えられなかった。
 ただただこの笑顔が忘れられなかった。

 カフェラテを口にしたらまた笑顔の記憶が甦る。
 忘れたいけど忘れられなくて。
 忘れたくないけど忘れてしまいそうで。


 ぼくはずっとこの彼女と過ごしていたんだ。

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