第8話

⚖️
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2020/07/05 06:20

ようやく今日もコンビニの仕事を終え、幾つかの酒を買って歩いていた時、あの路地に蹲っていたのは彼だった。はっきり顔も見たことのない男だが、何だか放っておけないような気がした。



「…風邪引きますよ」



蹲っては返事どころか俺の方を見ようともしない。



「家、近いの?」

「いくらなんでもさすがに帰らないと風邪引く…」

『何なのお前』



ようやく口を開いたかと思えば突き放すような冷たい言葉で、その低い声が酷く胸に刺さった。





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