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第13話

【空を見上げれば 2】
都築先生
都築先生
【昨日はありがとうございました。久しぶりに弥生さんの顔が見られて、安心しました。だけど、ちゃんと眠れていますか? 睡眠不足はいやな念を吸い込んでしまいますよ。気を付けてください】
紗南
紗南
ぷっ、なにそれ
そんなこと聞いたことがないなと思い、笑いながら続きを読んでいく。
都築先生
都築先生
【昨日、弥生さんを見てふと思いました。ちゃんと空気を吸ってますか? 心にも息抜きをさせてあげてください。ずっと閉じこもっていては、下ばかり見てしまうようになりますよ】
メッセージを読んでいて、笑う声が止まる。
息なんかちゃんとしてる。
だって、息をしなくちゃ生きていけないじゃない。
紗南
紗南
心にも息抜きだなんてさすが国語教師ー。ポエムとか書いてんじゃない? この人
バカにするようにまた笑い、でも心の奥では的を射られていて胸が苦い気持ちでいっぱいになる。
そして、メッセージは最後の二文になった。
都築先生
都築先生
【今日は雲一つない青空ですよ。窓を開けて、一度でも空を見ましたか?】
下唇を嚙んで、グッと込みあがってきたものを我慢した。
私、閉じこもってから一度もちゃんと空なんか見ていない。
見ていたのは下ばっかりだ。
私はスマホを手にしたまま立ち上がり、窓を開けた。
初夏を思わせる少し暑い日差しを肌に感じ、でも朝の澄んだ空気は私の体に気持ちよさをもたらしてくれる。
私は思い切り深呼吸をして空を見上げた。
紗南
紗南
はぁ……
そこには都築先生のメッセージ通り、真っ青な空が広がっている。
どこまでも遠く続く青空を見ていると、無性に泣きたくなった。
自分がとんでもなくちっぽけな存在みたいに思えて、悩んでいた心が少しだけ軽くなった気がした。
紗南
紗南
本当に、心にも息抜きって必要なんだな
それはポツリと呟いた独り言だった。
でも、なんだか都築先生に言いくるめられたみたいだし、変なポエムに汚染されたみたいで自分自身が気持ち悪くなってくる。
紗南
紗南
うわー、もう気持ちワル!
スマホを持っていない手で腕をさする。
でも、そんなふうに思いながらもその日は一日カーテンを開け、窓から陽の光を部屋に取り込んだ。
なんだかそれだけで真っ当な人間に返れた、というのは言い過ぎかもしれないけれど、それでも気分はよかった。