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第8話

【メールの始まり 3】
それから先生は毎日同じ時間にメールを送ってくるようになった。
それは毎朝七時半。
私の家から学校に行くまでに、この時間に出れば間に合う、そんな時間だ。
先生はこのメールをきっかけに私が学校へ行く気になるとでも思っているんだろうか。
紗南
紗南
バッカみたい
鼻で笑い、メールの内容を確認する私。
今日のメールは、
都築先生
都築先生
【そろそろ現国で小テストを実施しようと思っています。今までの復習をすれば簡単ですよ。一日に数分でもいいので、教科書を開いてくださいね】
紗南
紗南
勉強なんかするわけないじゃん
登校拒否をする生徒が家で真面目に教科書を開いて勉強でもすると思っているのかな?
でも、そろそろ部屋の中ですることもなくなり、暇を持て余していた私。
パラパラッと現国の教科書を捲ってみる。
紗南
紗南
ていうか、なんで先生の言うことを聞いちゃってんのよ、私
閉じた教科書をフローリングの上に投げ、ベッドの上に横になった。
そして無意識にスマホを摑み、メールの受信画面をタップした。
そこにはずらりともう見慣れた先生のメールアドレスが並んでいる。
登校拒否になってから、私にこうして連絡をくれたのは都築先生だけだ。
それを何気なしにタップして一つずつ読み返してみた。
都築先生
都築先生
【おはようございます。よく眠れましたか? 寝不足は集中力低下の一番の原因です。夜更かしはしないように。教室で会える日を待っています】
都築先生
都築先生
【雨が降ってきましたね。折り畳み傘は持っていますか? 小さな傘でも、小雨程度ならあなたを守ってくれます。忘れないようにしてください】
都築先生
都築先生
【先ほど、職員室の金魚に餌をあげました。餌を食べる金魚はかわいいですよ。あなたは今日何か美味しいと感じたものを食べましたか?】
紗南
紗南
よくもまぁ、女子高生相手に毎日送れるよねー
担任だというだけで、登校拒否のひきこもりの女子高生に毎日、色々と考えてメールを送らなきゃいけない先生という職業も、なかなか大変だなぁと妙に冷静になって都築先生からのメールを眺めていた。
真面目そうな先生のことだ。
きっと、頭を抱えながら内容を考えているに違いない。
紗南
紗南
でも、返信はするつもりないけれどね
返信なんかしてしまったら負けた気がして、どうも素直にメールを返せないでいた。
紗南
紗南
まぁ、こんな私相手にいつまでもメールなんて送ってこないよね。すぐにやめるよ
それでも都築先生はあきらめなかった。
平日は毎朝、必ず七時半に一通のメールを送ってくる。
それは昨日の学校での報告もあり、その日の朝の出来事を記していることもある。
それを結構楽しみにしている自分が信じられなかったけれど、でも、先生からのメールを読んでいると、心が軽くなる……そんな気持ちになっていた。
そして登校拒否を始めて三週間くらい経った月曜日。
その日の朝に、衝撃的なメールが私のもとに届いた。
都築先生
都築先生
【今日も学校に来られない様なら放課後、家庭訪問に行きますね。二学期の学校行事のことなどで伝えたいこともあるので、よろしくお願いいたします】
紗南
紗南
はぁ?
ベッドの布団にもぐり込んでメールを見ていた私は勢いよく起き上がり、なぜか自分の服装を一番に気にしてしまった。
紗南
紗南
冗談でしょ? 女子高生の部屋に男の担任が入るの?
学校に行っているときは、多少は身なりを気にしていて髪もメイクも人並みに気遣っていた。
でも、家にずっとこもりきりの生活で何もしてこなかった今の私は肌も髪もボロボロだ。
紗南
紗南
噓、うそ、ウソ! マジで勘弁して!
絶対に部屋には入れないことを心の中で誓いながらも、手櫛で髪を整えている私。
思っていることと行動していることは別々だ。
紗南
紗南
本気でいやなんだけど……!!
ソワソワと居心地の悪い時間を私は夕方まで過ごすこととなった。