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第9話

【メールの始まり 4】
─────そして、夕方。私の家のインターホンが鳴った。
私は自分の部屋の扉に耳を当て、聞き耳を立てた。
すると、HRで毎日聞いていた先生の男の人にしては細い声が聞こえてくる。
都築先生
都築先生
お忙しい時間にすみません。紗南さんの担任の都築です
母親
まぁ、ご足労いただきありがとうございます。どうぞ、お上がりください
都築先生
都築先生
すみません、ありがとうございます
母親
いえいえ
と、大人の定番の挨拶が階段下から聞こえてくる。
紗南
紗南
早く帰っちゃえ
ぶっきらぼうに独り言を言ってからしばらくした後、私の部屋の扉がノックされそのままゆっくりと開いた。
母親
紗南、都築先生が来てくださったわよ
お母さんはそう言いながらさらに大きく扉を開けた。
都築先生
都築先生
お邪魔します、弥生さん
お母さんの後ろから先生の優しい笑顔が見え、その声を聞いて私は正気に返り、勢いよく立ち上がった。
紗南
紗南
ちょ……! どうしていきなり扉を開けるの! 信じられない!
母親
ちゃんとノックしたわよ
紗南
紗南
返事してないのに開けないでよ!
気の抜けた姿を見られたという恥ずかしさのあまり、大きな足音をたてながら私はドアノブを摑み閉めようとする。
すると、先生の大きな手がその扉をおさえた。
都築先生
都築先生
急に閉めようとしたら危ないですよー、弥生さん。少しだけお話できますか?
紗南
紗南
できないから! 帰ってよ!
ドアの勢いを止められても、私の込みあがってくる意地は止まらない。
母親
紗南! 先生に向かってなんてこと言うの!
紗南
紗南
先生とか一番会いたくないから!
もうこうなったら言葉は止まらなかった。
それでも都築先生は苦笑いしかしないのだから、女子高生にこんなことを言われ慣れているか、かなりのメンタルの強さの持ち主かだと思う。
都築先生
都築先生
うーん、困りましたね
ほら、やっぱり先生自身は全く気にしてない。
都築先生
都築先生
じゃあ、五分だけ。五分だけ僕に時間をください。喋りたくなかったら何も話さなくていいですから。少しの間、一緒にいていいですか?
先生は扉をおさえていた手を私に広げて見せ、五分という時間を強調してくる。
都築先生
都築先生
んー……じゃあ三分でどうですか? 三分過ぎたらすぐに帰りますから
三分だけとまで言われて、それでもいやだと言うのはさすがに子ども過ぎるだろうと思い、渋々頷く。
紗南
紗南
……絶対に三分だけだから
都築先生
都築先生
ありがとうございます。じゃあ、お母さん、ちょっとの時間だけ僕と紗南さんだけにしてくださいますか?
先生が軽く会釈すると、お母さんは心配そうな顔を見せながら階段を下りて行った。
都築先生
都築先生
えーっと……では、お邪魔してもいいですか?
紗南
紗南
……
私は無言で部屋に入り、ベッドの上に乱暴に座る。
都築先生はキョロキョロと部屋を見渡しながら、ゆっくりと部屋に入ってきた。
紗南
紗南
……ちょっと。あんまり見ないで
都築先生
都築先生
あぁ、すみません。想像よりサッパリした部屋だなと思って
たしかに私の部屋は女子高生にしてはかざりっ気のない部屋だと思う。
黒と白で統一したシンプルな部屋だから、どちらかというと男っぽい。
都築先生
都築先生
座ってもいいですか?
紗南
紗南
三分だけなのに座るの?
都築先生
都築先生
三分だけでも弥生さんと同じ目線で話したいんです
鳥肌がたちそうなことを言われて、私は肩を怒らせて先生を睨む。
なのに、先生は私の目線を受け止めて優しく微笑み返してきた。