side:宮舘涼太
昔から少しだけ、少しだけど自分の誕生日が嫌いだった。
だって、この時期は大体が春休みで直接友達と会うことが出来ないから。
卒業の時なんて、感動が薄れた頃に自分の誕生日がやってくるから少し嫌悪感なんかも感じていた。
学生を終えても、その名残のせいで少しだけこの日が嫌になったりする。
『あれ、舘さんテンション低いな?』
「いつもこんなんだよ」
『あ〜っ、もしかしてさっきあげたワインとワイングラス持っとったとか...?』
「え、違う違うあれは嬉しかった」
『良かった〜...え、じゃあどしたん』
「別に何もないよ?」
心配性な性格のせいか、まだ眉を下げて俺の顔を覗き込んでくるあなた。
翔太には誕生日が憂鬱だとか、そんなことは言ってないけど多分感じ取ってるんだろう、チラチラとこちらを気にしている様子だった。
でも、ここ楽屋だしそんなに顔を近付けてきたら、ほら。
ラウ「ねぇあなたちゃんちかーい」
『えっ?』
渡辺「そうだぞーーー涼太独り占めすんなーーーー」
「あ、そっちなの?」
『えぇ待ってここでゆり組見せつけられるとは』
あなたはいつだって笑顔で、皆のことを見ていないようでしっかり見ていて、辞めたいだとか言わないけど、
陰で誰よりも努力してることを、俺は知ってる。
改めて、Snow Manになってくれて良かったと思ってる。
『舘さん』
「ん?」
『生まれてきてくれてありがとう』
「え?笑」
どこか聞き覚えのあるそのフレーズに思わず笑ってしまったけど、
きっと目の前の彼女にはそれに照れ隠しも入ってるってこと、お見通しなんだろうなあ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!