side:海瀬あなた
川島「あ、あなた!」
「おお如恵留」
事務所に入ってエレベーターを待っていると、Travisの如恵留が話しかけてきた。
てか珍しいなあ、如恵留から話しかけられる事も、てかそもそも如恵留と会えるのなんてごくたまにしかないから。
「どうしたん?」
川島「もしかして今日って、少し遅れてきた?」
「ああうん、渋滞に巻き込まれて」
川島「なら早く行った方がいいよ、皆大変な事になってるから」
「エッ」
川島「気をつけてね!!!じゃ!!!」
「まっ、ちょのえるー!!!」
だだだだ、っと走っていった如恵留の姿はもう見えない。
まあ心当たりも、無くはない。
きっと今頃ラウールは質問攻めにあってる所だろう、可哀想に。
「はよー」
楽屋はどんちゃん騒ぎだろうと期待して扉を開けると、私を見るなりシーン...と静まり返る部屋。
待って、状況が全く掴めなくて逆に怖い。
ラウ「あなたちゃあん」
「え、なに、」
ラウ「もう嫌だ」
「なにされたんラウール!!!!」
私の一言をきっかけにぎゃあぎゃあと騒がしくなる部屋。うるさい、うるさすぎる。
佐久間「なにあれ!!ラウールが大人すぎて!!!あれはもうラウールじゃない!!!」
目黒「てか俺が教えたキス...」
渡辺「あーもう無理ほんと無理無理俺無理」
阿部「まあでも映画、面白かったよ」
宮舘「2人とも凄く演技上手かったし」
岩本「ドッキリの時オドオドしてたあなたとは大違いだったし笑」
深澤「でもあれはさーあ...」
向井「おん...」
昨日、私達以外の8人でハニレモ見てきてくれたらしいけど、想像以上の反応だな。
ちらりとラウの方を見るとさっきまであそこに居たはずなのにいない。
「わぁ!?」
ラウ「皆が怖い...」
佐久間「あざとっっっっ」
渡辺「おい天使の力無駄遣いすんなー!」
「よしよしラウちゃん」
目黒「うーわもう...」
珍しく私を後ろから抱きしめて離さない最年少に、
映画の時とはまるで別人みたいだね?
そう呟くと腕の力が強くなって、またメンバーがうるさくなったのは、天使で小悪魔の君には想定内だったのかもしれない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!