第53話

あの時を覚えてる?
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2021/03/24 08:00
side:向井康二















前にデビューコンの為のCry outの衣装を見直してた時の事だった。












『…あのさ、私の衣装なんやけどさ』



岩本「うん?」



『スカート…だめ、かな』



深澤「すっ、すかっ、スカートッ!?」



佐久間「すかーと……??」



宮舘「なんでそう思ったの?」



『…』











あなたは事務所兼Snow Manの紅一点ということもあって、スカートやリボンなどを頑なに嫌がっていた。



もう世間はあなたのことを受け入れているのに、本人はそうは思わないみたいでいつもパンツスタイル。



衣装で女の子らしいそれを取り入れたのは、確かparty!party!party!の肩に少しフリルが付いたもの。



その時はあなたから提案したわけじゃないけど、スタッフさんが「せっかくJrの最後に着る大事なものだから」と言ってくれた。



その時のあなたは顔を綻ばせて嬉しそうだったのが…そう、印象的だった。











『…やっぱ、だめ、?』



岩本「ううん、だめじゃないよ、俺らは。けどいきなりだったから」



渡辺「なに、誰かからなんか言われたの?」



『違う、ふつーに、私やってスカートとか履きたいし…それにCry outにスカートが合わへんってのは分かっとるけど、』



阿部「良いんじゃない?今まで全然スカートとか履いてなかったし」



佐久間「でもさ…見えちゃわないかな、激しいダンスだと」



目黒「まぁそこら辺はなんか履けば大丈夫でしょ」



ラウ「そう言えばファンの子達もあなたちゃんにスカート履いて欲しいって言ってたよ」



深澤「おー、良いじゃない!?ね、いわもっさん」



岩本「うん、いいと思うよ。じゃ決まり」












そのあとはあなたの衣装だけスカートに変更する方向で話は進んで、1回試しに来て踊ってみよう、となった。



着替えたあなたは今までの中でたぶん、1番を争うくらいにきらきら輝いていて、



なにより可愛かった。












『…えへへ、どうかな』



目黒「めっっちゃかわいい」



深澤「これはだめだな」



渡辺「おまえ、それホントにライブで着んの?」



佐久間「御三方落ち着いて〜〜??」












踊ってる最中もあなたがセンターに躍り出てかっこよく決めてる時も



その姿が頭にこびりついて、ただただ可愛くて、



本人が、いちばん楽しそうだった。






その姿を見て、あなたもやっぱりひとりの" 女性 "なんだなぁと無意識に思った。





時々、少し苦しくなる。



関西の時...



グループが解散する、あの時。



俺が強引に、あなたを関東に連れてきたみたいなもんだから、俺だけ皆と距離詰めてええんかなって。










〈私は大丈夫やから。
それに、康二が、関東に来たいってゆーたんやろ?しっかりしてや。康二がしっかりしとらんかったら、私まで調子狂う〉





俺だけ、俺だけ。



あなたとこの蟠り わだかまりを解くのにはまだ少し、時間がかかりそう。

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