side:向井康二
前にデビューコンの為のCry outの衣装を見直してた時の事だった。
『…あのさ、私の衣装なんやけどさ』
岩本「うん?」
『スカート…だめ、かな』
深澤「すっ、すかっ、スカートッ!?」
佐久間「すかーと……??」
宮舘「なんでそう思ったの?」
『…』
あなたは事務所兼Snow Manの紅一点ということもあって、スカートやリボンなどを頑なに嫌がっていた。
もう世間はあなたのことを受け入れているのに、本人はそうは思わないみたいでいつもパンツスタイル。
衣装で女の子らしいそれを取り入れたのは、確かparty!party!party!の肩に少しフリルが付いたもの。
その時はあなたから提案したわけじゃないけど、スタッフさんが「せっかくJrの最後に着る大事なものだから」と言ってくれた。
その時のあなたは顔を綻ばせて嬉しそうだったのが…そう、印象的だった。
『…やっぱ、だめ、?』
岩本「ううん、だめじゃないよ、俺らは。けどいきなりだったから」
渡辺「なに、誰かからなんか言われたの?」
『違う、ふつーに、私やってスカートとか履きたいし…それにCry outにスカートが合わへんってのは分かっとるけど、』
阿部「良いんじゃない?今まで全然スカートとか履いてなかったし」
佐久間「でもさ…見えちゃわないかな、激しいダンスだと」
目黒「まぁそこら辺はなんか履けば大丈夫でしょ」
ラウ「そう言えばファンの子達もあなたちゃんにスカート履いて欲しいって言ってたよ」
深澤「おー、良いじゃない!?ね、いわもっさん」
岩本「うん、いいと思うよ。じゃ決まり」
そのあとはあなたの衣装だけスカートに変更する方向で話は進んで、1回試しに来て踊ってみよう、となった。
着替えたあなたは今までの中でたぶん、1番を争うくらいにきらきら輝いていて、
なにより可愛かった。
『…えへへ、どうかな』
目黒「めっっちゃかわいい」
深澤「これはだめだな」
渡辺「おまえ、それホントにライブで着んの?」
佐久間「御三方落ち着いて〜〜??」
踊ってる最中もあなたがセンターに躍り出てかっこよく決めてる時も
その姿が頭にこびりついて、ただただ可愛くて、
本人が、いちばん楽しそうだった。
その姿を見て、あなたもやっぱりひとりの" 女性 "なんだなぁと無意識に思った。
時々、少し苦しくなる。
関西の時...
グループが解散する、あの時。
俺が強引に、あなたを関東に連れてきたみたいなもんだから、俺だけ皆と距離詰めてええんかなって。
〈私は大丈夫やから。
それに、康二が、関東に来たいってゆーたんやろ?しっかりしてや。康二がしっかりしとらんかったら、私まで調子狂う〉
俺だけ、俺だけ。
あなたとこの蟠りを解くのにはまだ少し、時間がかかりそう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!