『大照』19年(1930年)。
帝都・東京。
和洋が入り交じったロマン溢れる街並みのなか、多くの人々が行き交っている。
明るく活気に満ちた街中にある洋館の一室で、長机を前に厳しい顔をしている男達がいた。
そこで行われているのは、神楽舞官の面接だった。
少し緊張しているが、元気にハツラツと自己紹介する風見の様子を、少し離れた場所から綾井と赤音と白神が眺めている。
綾井は隣にいる赤音に小声で話し掛けた。
言い終えた綾井は退屈そうにあくびをする。
面接官である藤堂からの言葉に、戸惑いがちに返す風見。
風見の言葉に、机の上にいた小竜が『呼んだ?』と問いかけるように首を傾げる。
それを見てびっくりする風見。
表情には出ていないが、藤堂は「ほお」と感心している様子を見せた。
嬉しそうに風見に向かって飛んでいくチイ。
風見は自分の周りを飛び回るチイに慌てふためいている。
眼前で止まり、ジッと見つめてくるチイに戸惑う風見。
すると、力を溜めるように、チイがギュッと目をつぶった。
次の瞬間、ポンッとなにもなかった空中に石が出現する。
落下を始めた石を、風見は慌ててキャッチした。
藤堂が淡々と試験結果を告げる。
いまだ状況を飲み込めずにいる風見は
と首を傾げた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。