第5話

第5話
2,203
2021/01/05 09:53
土曜日の午前中
ヴィル
ヴィル
長ズボンで行くなんてありえない!
あんたは顔とスタイルだけはいいんだから、もったいないでしょ!
あなた
は、はい姐さん!
朝早くから姐さんにファッションショーを
させられ悩みに悩んだ末、黄色と白色のス
トライプのワンピースにした
髪も色々とアレンジしてくれて結果
ヴィル
ヴィル
ふぅ〜力作ね
リズ
リズ
似合ってるよあなた
ジャミル
ジャミル
孫にも衣装だな
カリム
カリム
…………
皆褒めてくれている中、カリムはというと
ずっとそっぽを向いている今朝からずっと
こんな感じだ
リズ
リズ
あなた、私は影で見守っている
あなた
え!?リズも来るの?
リズ
リズ
安心しろ、気配は消して一定の
距離から護衛をする、いざ刺客が
きても困るしな
あなた
わかった
カリム
カリム
俺も
あなた
え?
カリム
カリム
俺も行く!
あなた
え!?
ジャミル
ジャミル
おいカリムわがまま言うな
カリム
カリム
邪魔はしない!リズと一緒に護衛を手伝うだけだ!
ジャミル
ジャミル
お前が行くと俺まで行かなくちゃ
いけなくなるだろう
カリム
カリム
俺は絶対に行くんだ!
リズ
リズ
いいだろう
ジャミル
ジャミル
は?
リズ
リズ
邪魔はしないと約束するならば私についてくるがいい
あなた
え?ちょっとえ?
リズ
リズ
護衛は多い方がいい、それに私もまだこの街について全て把握している訳ではない
あなた
はぁ〜分かったわ、でも!絶対に話してる内容は聞かないでね!
リズ
リズ
はいはい
リズ
リズ
あなた、そろそろ時間だ
リズ
リズ
スカラビアに迎えに来ると言ってなかったか?
あなた
そうだったじゃあね!みんな
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ジャミルside
俺の主人は只今
レイラのすっごく近くで見守っている
ジャミル
ジャミル
おいカリムをあんなに近ずけて大丈夫なのか?
リズ
リズ
あなたは鈍いから心配はない
ジャミル
ジャミル
お前、何を企んでいる?
リズ
リズ
企む?頭が悪いとは思っていたが
ここまでとはな
ジャミル
ジャミル
俺の目は誤魔化せないぞ
ジャミル
ジャミル
お前、この街を把握しきれて
いないなんて嘘なんだろう?
リズ
リズ
なに?
ジャミル
ジャミル
昨夜、お前が夜の商店街の上を獣のように走り回っていたのを見た
俺の発言に彼女は眉間に皺を寄せる

確かに見たんだ、カリムの馬鹿のわがままで絨毯の散歩に付き合わされた時に、建物から建物へと翼がはえているのではと錯覚するほどとても素早く走り回っていた彼女を
ジャミル
ジャミル
お前は、走り回り刺客達を巻く程この街の構造を把握している、下手したら俺よりもな
あの動きはとても人間の動きではない
ジャミル
ジャミル
お前は、何者だ?
リズ
リズ
あなたの従者だ
ジャミル
ジャミル
そうか、ならば言い方を変えよう
どうしてカリムと俺をこの場に連れてきた?
リズ
リズ
チッ、流石だなアジーム家の優秀な従者とは名ばかりではないらしい
ジャミル
ジャミル
答えろ
リズ
リズ
別に……特に理由はない
ジャミル
ジャミル
は?
リズ
リズ
あなたには幸せになって欲しい
あんなモブ男とくっつくぐらいなら
大富豪の跡取りであるカリム様の方が
まだましだと思っただけだ
リズ
リズ
主人の幸せを従者が望む。
何かおかしいか?
ジャミル
ジャミル
いや、あいにく俺もカリムには幸せになってほしいからな
だとしたら、あれは見間違いだったのか?
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昨夜
ジャミル
ジャミル
カリム、用ができたおろせ
カリム
カリム
夜の商店街に用があるのか?
おかしな奴だな、あっはっは!
ジャミル
ジャミル
先に帰っていろ
カリム
カリム
あぁ、気をつけろよ〜
絨毯からおりて、見慣れた背中を追う
リズ
リズ
貴様がトップの者か?
モブ
モブ
ひぃ
声が聞こえ、さっと隠れる
リズ
リズ
吐け、誰の指図だ?
彼女は図体のでかい男の首を平気で掴み、
持ち上げる。既に地面には数人の死体があった
リズ
リズ
3つ数えてやる、ご丁寧に吐いてくれれば命だけは助けよう、言わなければ息の根を止める。安心しろ人想いに即死させてやる
リズ
リズ
1
モブ
モブ
ま、待て!
リズ
リズ
2
モブ
モブ
言うから!待ってくれ!
リズ
リズ
3
モブ
モブ
人殺し!
彼女は躊躇なく男の喉を切り裂く
リズ
リズ
人殺し?害虫を駆除して何が悪い
リズ
リズ
はぁ全く
リズ
リズ
仕方ない、これも全てレイラのため
一言でいうと化け物だった、従者の惑を越えている
全神経に力を入れ、全力で気配を消す
リズ
リズ
誰だ
ふと、リズがこちらを向いた気がした
命の危機を感じ、直ちに走り去った


幸いにも巻くことができたが、一歩遅かったら俺でも確実に殺されていた。一体彼女は何者だ?
───────────────────────
リズ
リズ
さっきから何をじろじろと見ているんだ?気持ち悪い
ジャミル
ジャミル
見てない
リズ
リズ
はいはい
リズ
リズ
そろそろカリム様を回収してくれないか?さすがのあなたも気づくだろう
ジャミル
ジャミル
了解した
ジャミル
ジャミル
カリム、そろそろ離れろ
カリム
カリム
はーい
遠くにいるカリムに控えめの声量で言うが
耳のいいカリムはすぐに気づきこちらに来た
その時だった事件が起きた、
あなたが偶然一人いる時に男達が彼女に絡んできたのである、それもナイフをもってその場所は人気はなくとても危険な場面だった
ジャミル
ジャミル
おいリズ!
リズ
リズ
心配ない、男4人ならばあなた一人でなんとかなる
ジャミル
ジャミル
それでも従者か!
俺が怒鳴ったと同時だった
レイラは1人の男を蹴り飛ばし空中で回転したと思ったら、男の頭を掴み逆立ちし、足を振り回す。ナイフは飛んでいき残り1人の男の腹にストレートを1発決める。その1発は地面に亀裂が入るほどで男は血を吐く
その動きはとても早く10秒ほどだった。あんなにか弱い少女が4人の男をボコボコにする光景を俺とカリムは口を開け呆然と見ていた
ジャミル
ジャミル
やはり、お前ら何者だ!?
どこの国のスパイだ
リズ
リズ
はぁ勘だけはいいんだな…全く
リズ
リズ
まぁお前は口が硬そうだから
仕方なく教えてやる
リズ
リズ
彼女はあなた・グレイス
グレイス帝国の第一皇女で
第一皇位継承者という事は事実だ
リズ
リズ
そして私はグレイス帝国直属の
国家保安本部長兼あなたの従者
リズ
リズ
他言無用で頼む
ジャミル
ジャミル
なぜ、国のトップのお偉いさん達がNRCに?
リズ
リズ
知るわけないだろ
皇帝命令なんだ
ジャミル
ジャミル
本当にあなたは皇族ってだけなのか?
ジャミル
ジャミル
ただの皇族があんなに
強い訳がないだろう
リズ
リズ
皇族を甘く見られても困るな
リズ
リズ
皇族は国のトップであり支配者それも
第一皇位継承者(次期皇帝の座に一番近い存在)であるあなたが弱かったら話にならないだろう?
リズ
リズ
だからそんなあなたを守る私も当然ずば抜けて強い
ジャミル
ジャミル
はぁ
ジャミル
ジャミル
カリム、諦めろ
カリム
カリム
え?何を?
ジャミル
ジャミル
あなたのことだ
カリム
カリム
なんでだ!?
ジャミル
ジャミル
聞いていなかったのか!?
ジャミル
ジャミル
彼女は第一皇位継承者、つまり次期女帝だそんな彼女をいくらアジーム家といえど娶るなど戦争に発展してもおかしくない
リズ
リズ
いや、問題は無い
リズ
リズ
第一皇位継承者とは表向きの肩書きだ
ジャミル
ジャミル
どういうことだ?
リズ
リズ
あなたの弟、第一皇子シャルル様は現皇帝陛下と同じユニーク魔法を使用するそれにグレイス帝国は男尊女卑の国だいくら皇族とはいえ女性であるあなたが皇帝になれば民の反発も防ぎようがない
リズ
リズ
彼女が皇帝になる事はありえない
ジャミル
ジャミル
じゃあどうしてそんなにカリムと彼女の恋を応援するんだ?
リズ
リズ
言っただろう
幸せになって欲しいからだ
リズ
リズ
私は人殺しだ、あなたのためとなれば
カリム様であろうとジャミルであろうと躊躇なく殺せるだが、あなたが大事だと言うことには変わりない
リズ
リズ
あなたがカリム様と結婚し、アジーム家に嫁げば皇族に縛られることはなく自由に幸せになるだろう
ジャミル
ジャミル
そういうことか、だが俺も従者だ
主人(カリム)を殺されてはお前の事を殺さなければならない
リズ
リズ
安心しろ、お前達は殺さん
ジャミル
ジャミル
その言葉を信じろと?
リズ
リズ
カリム様はあなたの将来の婿だろう
殺す訳がなかろう
リズ
リズ
だが、お前は………分からない
ジャミル
ジャミル
は?どういうことだ
やはり俺は殺される危険があるのか?
リズ
リズ
……………
リズ
リズ
昨夜、お前に目撃され本当は殺さなければならなかった。だができなかった
ジャミル
ジャミル
なぜだ?
リズ
リズ
分からない、ただ死んだらきっと何かを失う気がして怖かったんだ
ジャミル
ジャミル
はぁ〜
ジャミル
ジャミル
まるで告白されているようだな
リズ
リズ
なっ!違う!調子に乗るなよ
ただジャミルが死ねばカリム様が悲しがると思っただけで
ジャミル
ジャミル
はいはい
適当に流されたのが気に入らなかったのか、彼女は顔を真っ赤にして『本当に違うんだからな!勘違いするな!』と叫び散らかす
カリム
カリム
お?よく分かんないけど仲良いな!
リズ
リズ
よくない!
ジャミル
ジャミル
よくない!
カリム
カリム
まぁでも安心しろよ
俺はあなたの事をあいつに
譲る気は全くないぜ
脳天気な主人の言葉に不覚にも安心してしまう
ジャミル
ジャミル
そろそろ寮に戻るぞ
リズ
リズ
あぁ
カリム
カリム
おう!
あなたを追いいつも通りの通路
を通りスカラビア寮へと向かう


































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リズ
リズ
はぁ!?告白された!?
あなた
そう!
帰り間際に『好き』って言ってくれて
リズ
リズ
こんなはずじゃ((ボソッ
あなたは幸せそうな顔をして
リズは眉間に皺を寄せカリムは絶望している
主人の失恋を2度も目の当たりに
するのは少々心が痛む
あなた
早く寝ないと『夜更かしは美容の敵だ』って姐さんに怒られるんだった!
リズ
リズ
その前に風呂
あなた
じゃあねカリム、ジャミル
今日はありがとうね
ジャミル
ジャミル
あぁ
あなた
おやすみ
そして、リズとあなたは去っていった
ジャミル
ジャミル
カリム、うじうじしていても仕方がないんじゃなかったのか?
絶望の顔をして俯く主人に話しかける
カリム
カリム
そうだけど!別に奪い返すけど!
ジャミル
ジャミル
ならいいじゃないか
カリム
カリム
でも、あなたの初彼は
俺がよかったっていううか
ジャミル
ジャミル
はぁ〜どうでもいいな
カリム
カリム
ひどくね!?
ジャミル
ジャミル
早く、風呂に入るぞ
カリム
カリム
うぅジャミル〜








今日は色々なことがあった




主人の未来の嫁に初彼ができたり



主人が二度の失恋をしたり



リズが国家保安本部長だったり






色々あったが1番印象に残ってるいるのが






昨夜、お前に目撃され本当は殺さなければならなかった。だができなかった

分からない、ただ死んだらきっと何かを失う気がして怖かったんだと思う








リズのこの言葉が気になって寝れなかったなんて事は墓場まで持っていこう

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