目を開けると見慣れない部屋が広がっていた
あ、そっか私昨日リドルに
わがまま言って泊めてもらったんだ
器用な優しさより不器用な優しさの方が時には心地いいものだってお父様が仰っていたけれど本当なんだな〜
頬を膨らませながら不貞腐れるリドルに
つい笑いがもれる
まだ全然時間に余裕があるけど
そういうことにしとこう
妙に視線が気になるが2人で登校した
スマホを確認したらカリムやリズから
沢山の通知がきていた
皆の顔が安堵したのが分かった
ジャミルはリズの手を引き足早に去っていく
これはこれは、新しい恋模様?
心配そうに私の顔を覗き込むカリムの
目の下にはくっきりとクマがあった
今夜、カルマくんの後をついて行ってみよう
放課後────
保健室へと到着すると、丁度ジャミル
が出てきたリズをお姫様抱っこして
多少騒がれただけじゃリズは起きないけど……
まぁ触れないでおこう
1限~6限までほとんど記憶がない、
ずっとぼーっとしていたのは覚えているけど
夜────。
ポムフィオーレ寮の前で待っていたら予想通りカルマくんがきょろきょろしながら出てきた、追っていったら商店街の路地裏につき衝撃な光景が広がっていた
全ての場面を私は隠れて声を押し殺し聞いていた頬に涙が伝い嗚咽が響く。バレてはまずいと思いその場を去る
急いでスカラビア寮に向かうが足が
思った通りに動かずふらふらしている
スカラビア寮の門が見えてきた、あと少しの所で腰が抜け壁に寄りかかり床にペタンと座る
スカラビア寮の広い庭園に私の嗚咽が響き渡る
私の顔を見たカリムはぎょとした顔をしてすぐさま駆けつける、私の目線に合うようにしゃがみ心配そうに顔を覗き込む
少し声のトーンが低い気が
したがそれどころじゃなかった
途切れ途切れで分かりにくい説明をする
私にカリムは相槌をうち抱きしめてくれる
苦しそうな顔をしながらそういうカリムに
私は勢いで頷いてしまった
カリムは泣きじゃくる私をお姫様抱っこ
して寮まで連れてきてくれた
カリムの今までに見た事のない圧に
ジャミルも私も寮生全員が息を飲む
寮長室に入り広いベットに私を
下ろしてくれるそして頭を撫でて
と、眉を下げて心配してくれる
嗚咽も鳴きやみ、涙もとまった私は頷く
と、また私の事を抱きしめてくれる
コンコン
扉をノックする音が聞こえ、カリムが入れ
と声をかける、ジャミルの後ろにカルマくん
がいるのが分かった
ジャミルが出ていったのを確認し、深呼吸をする
私がそういうと、カルマくん
は顔を青くし言葉を詰まらせる
浮気なんてしてないのに、勝手に勘違いして
流石の私でも腹もたつよ
言い返しそうとした瞬間にゴンッと音がした
音がした方を見るとカリムが壁を殴って眉間
に皺をこれでもかというほど寄せカルマくん
を睨んでいた
分かったな?と睨みつけられたカルマくんは
ひぃと情けない声をあげ部屋からでていく
二重人格ではと疑うほどさっきとは別人な
子犬のような瞳でこちらを覗き込む
彼の右手から血が出ていることに気がついた
さっき、壁を殴ったからだ
カリムの差し出された手に私は
自分のユニーク魔法を使う
金色の魔力をカリムの右手にあてる
みるみる傷は治りカリムもジャミル
も驚きのあまり目を見開く
無自覚にいうカリムの言葉に顔が沸騰する
あぁ、きっと自分は今凄く顔が赤いだろう
バンッ
勢いよく扉が空いたと思ったらリズが
こちらに向かって般若の顔で近づいてくる
と、ジャミルの胸ぐらを掴む
にやにやしながら挑発する
リズにジャミルが顔を真っ赤にして
とボソッとつぶやく
誤解をとくために私はジャミル
とリズに1から説明すると
早い!とても!それと、とても重い!
この時から既に、私はカリムに惚れ込んでいた事に気づくのはもう少し先のお話
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!