第22話

誕 生 日 .
1,981
2022/05/23 15:00
莉犬くん。
お誕生日おめでとうございます!
辛い時、悲しい時、助けてくれたのは莉犬くんです。これからも、ずっと応援させてください!
大好きです!
誕生日なんて、どうでもよかった。
だって、あんな親からこんな子供が生まれてきた日なんて、興味なんてないし、吐き気がする。
周りが
モブ
誕生日おめでとう!!!
なんて
気持ちが悪い。
ただ、うるさいだけ。
そう、強がっていた。
だけど
本当は____________________。
家庭環境が最悪だった俺は、昔からトゲトゲしていた。
モブ
ねぇ、赤くんっ!
ん?
モブ
みて!可愛いでしょ?!
へー、センス悪る…
モブ
はぁ?
モブ
なによそれっ!最悪!
ただ、思ったことを口にしていた。
自慢して、何がいいのか分からなかった。
モブ
赤くんっ、これね?1万円で、パパに買ってもらったのぉっ!良いでしょぉ?
1万円でそれ?買う意味なくない?
モブ
な、なによ!私のパパはなんでも買ってくれるのよっ!
そっか、で?
モブ
っ〜〜!も、もういいわっ!
こんな事をしていたら、友達なんて居なくなった。
プラス、いじめが始まった。
へんな噂流されて、殴られ蹴られ。
典型的ないじめばっかだった。
ばかばかしい。
そんな言葉が一番似合う。
帰っても、俺はグチグチ言われ、
兄は愛でられる。
こんな親から産まれたなんて、認めたくもない。
ある日、いじめの主犯の子の誕生日だった。
そいつはみんなから祝われてた。
そいつも幸せそうな顔をしてて、
羨ましい。
と、不意に思った。
自分はそんな立場ではない。
分かっているはずなのに、
見苦しい妄想をただただ考えるだけだった。
またある日。
もう、消えようと思っていた。
そう。
今日に。
今日は最悪な日。
大っ嫌いな日。
5月24日。
おめでとうなんて。
言われたことなんかない。
最後に、言ってほしい。
ばかげた願い。
でも、後ろから、暖かい温もりを感じると、
あぁっ、言ってくれるのかなって
期待を抱いてしまう。
俺は、偽りだらけなのに。
みんなの思う「赤」じゃないのに。
なんで、そんなに優しいの。
みん、な。
としたの?わんわんニコッ
今日は、最高の日ですよ。
5月24日や。
っ…
大好きな赤の
誕生日。ニコッ
ポロポロ
あぁっ…みんなは、俺に欲しいことを言ってくれるの?
ずっと羨ましがった、あの言葉を。
そんなんだから、みんなを嫌いになれないし、
死ねない。
ねぇ、赤くん。
やめて欲しい。
僕達からね、伝えたいことがあるの。
これ以上、みんなを、好きにさせないで欲しい。
せーの!
全員
お誕生日おめでとうっ!
うっポロポロあ゛ぁっポロポロ
みんなぁっポロポロ
大好きっポロポロ
ありがとうっポロポロ
こちらこそ!いつもありがとうございます。
みんなめっちゃ赤に助けられてるぜ。
大好きな赤くんだから、おめでとうって言うんだよ。
悩みがあるならさ、聞いてよ。
僕達馬鹿だから赤くんの気持ち、分かんないよポロポロニコッ
頼って欲しい。
ただそれだけや。
赤は頑張ったんや。もうええ。大丈夫や。
全員
大好きだよ。
ポロポロ
ありがとうっポロポロ
大っ嫌いな誕生日も、
みんなのおかげで、
少しは好きになれたかな。
みんな、ありがとう。

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