愛されたかった。
ただ、それだけ。
必要とされたかった。
心配して欲しかった。
見て欲しかった。
聴いて欲しかった。
ただただ、それだけ
両親は俺を嫌った。
何も出来ない出来損ないはいらないと。
兄弟は俺を嫌った。
お母さんたちが嫌いなら僕たちも嫌いと。
クラスメイトは俺に光を差した。
友達だよと。
家族って、なに、?
いくら学校で認められても
頼られても
やっぱり俺は家族に認められたかった。
家族からの愛が欲しかった。
欲にまみれ狂ってしまった俺の心は
もう戻らない。
俺は高校生2年生で
上から3番目。
1番上はななもり。さん。
優秀な成績を残し、頼られてる存在。
高校3年生。
2番目のさとみさん。
ななもり。さんと双子で、音楽に長けている。
ピアノのコンクールで好成績を残している。
そして俺。
一個下はころんさん。
地頭がよく、コミュニケーション力に長けている。
高校1年生。
るぅとさん。
音楽の秀才で、なんでもできてしまう。
さとみさんとよくセッションしてたりする。
るぅとさんと双子のジェルさん。
とにかく頭がいい。
また、頭の回転がよく、面白いので
人気者でもある。
こんな家庭に生まれた出来損ない。
口癖にもなってきてるこの言葉。
家にいるのが苦痛で
よく公園にいる。
キィキィとなるブランコの音は
より孤独を感じさせた。
返事は返してくれるものの
俺を見る目は
冷たくて
まるで他人見ているかのような目だった。
なんで今更。
涙なんてとっくのとうに枯れたはずだったのに。
感情なんて、無くなってしまえばいいのに。
夜は泣いて、
朝は元気に起きて、
学校で認められて、
帰ってきて、孤独を感じる。
家に帰れば楽しそうにゲームをする声。
親が違ったらあそこに入れたのかな
なんて、勝手に想像する。
分かってた
自分が限界だってこと。
もう、無理だって
身体が悲鳴をあげていた
無気力になった。
身体が、動かなかったんだ。
ただ、マイナス思考が頭の中を四方八方。
たまに兄弟を、親を殺してしまえば……
なんて考えが浮かんできて
怖かった。
でも、何回もそんな考えがでてきて
少し気になって
そこから俺は本当に狂ってしまったのかもしれない。
俺には、暴れる以外の選択肢はもう、なかった。
ずるいずるい、ずるいずるいずるいずるい
思考が黒い言葉で埋め尽くされる。
にくい、ずるい、悔しい、、
殺したい
そこからはもう早かった
気づけば俺は、包丁を握って
騒がしいリビングへ向かっていた
さとみside
晩御飯前。
家族全員で遊んでいた。
まぁ、1人除いて
そいつが
リビングへやってきた
フラフラと、何かをもって
近づいて来ると共に
手に持っているものが明確になる。
名前さえ久しぶりに呼んだ。
頭の中はテンパってて、
冷静になる方法を必死にかんがえた。
何を言ってるんだ
怖いに決まってる
いつもなら強気に発言できる言葉も
でてこない
分からない。どうしてりいぬがこうなったのか、
分からない。
分かりたくない。俺らのせいだってことを
あいつのハイライトの入っていない目から
一筋の涙が頬から伝った
なんも出来ない俺に上乗せになって、
刃物を突き出してきた
恐怖のあまり声も出ない
俺の事をまっすぐ見て
必死に気持ちを伝えてくる
俺は、気づかなかったよ
りいぬ、
お前が、そんなに苦しかったなんて
嫌っててごめん
くそでごめんね
俺が、何かを間違っていた
心の中で精一杯謝った
神様。次はりいぬが恵まれた家族の元に生まれますように。
りいぬの頬に手を添える
ゆっくり包丁を上げる
あぁ、死ぬのかな、
次はりいぬを愛したいな
自分が、1番バカだったな、w
覚悟を決して目を瞑る
ただ、いつまで経っても、衝撃が来ない
目を開けると俺の血では無い血が垂れてきた
視線の先にはりいぬの腹部に包丁が刺さっていて
口から血を出している
胸ぐらを掴まれる
そこでりいぬは電池が切れたかのように俺に倒れかかってきた
誰も、何も発さない。
ただただ、集中治療室のランプが消えるのをまつ。
治療から約2時間半
そこには、にこやかな医者が……
そういって両親は着いてった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!