〈あなた〉
なぜか、亜嵐くんの寝坊のせいで
学校をサボった。
こんなことしたら親に
何を言われるや……
いつもならそう考える。
けど、なんか亜嵐くんだと安心しちゃって
いいよって言っちゃった。
亜嵐くんに隼が来てくれたこと
言わなきゃ…!
ついでに私の気持ちも聞いてくれるかな…
ん?と言った顔。
困ったような顔をして可愛い。
いつもはかっこいい亜嵐くんでも
こんな可愛い亜嵐くんを見れるのは
私だけかもしれない…/////
なんてこと考えちゃう。
でも、否定する気持ちの隣に
嬉しいという気持ちもある。
これ、亜嵐くんに言うべきなのか
正直迷ったけど、
亜嵐くんならいいかなって思えた
自分がいた。
こんな話でも、真剣に聞いてくれる。
好き…?
いや、もう振られた。
なんて話しながら歩いていると
遊園地が見えてきた。
目の前には高い空中から
落ちるジェットコースター。
大きく空を回る観覧車。
どれも乗りたい乗り物ばかり。
と言って写真を見せてくる。
私が笑っている写真。
ドキッ…
なんだ今の鼓動は…
と言って私の手を取って走る。
亜嵐くんは私が悲しい時
楽しい時など一緒に過ごしてきた。
楽しくない時なんかない。
だから、一緒にいれたら幸せなんだろうな
…!?
つい声が漏れちゃった。
それから、たくさん乗り物乗って
有意義な時間を過ごした。
夕方になってきてあたりも少し
暗くなってきた。
亜嵐くんがお腹を抑えてしゃがみ込んだ。
私はすぐ駆け寄って
顔を覗き込もうとした瞬間──────
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!