第39話

No.39
1,224
2018/02/11 09:27
〈隼〉
二人を送り出してから


家に帰るとしーんと静まり返る部屋。
隼
寂しいな…
さっきまでキッチンで料理していた


亜嵐くんがいたのに。


さっきまで俺のそばで看病してくれてた


あなたちゃんがいたのに…
帰りたい気持ちがどんどん増す。


だけど俺には叶えたい夢がある。
【プルプルプル…】
表示されているのは
【コーチ】
隼
ん、なんだろ
出てみた。
隼
はい、もしもし
コーチ
隼?
隼
はい
コーチ
すごいのよ!
あなたプロのダンサーの人から
指名されたわよ!
なんだって…?
隼
誰からですか?
コーチ
あの、有名な会社の社長よ。
隼
え…!
あの会社とは


ダンスの世界では一番と言っても


過言ではないほど有名な


グループだ。


そんな今の俺からして


別の世界から指名がくるなんて


夢にも思っていなかった。
コーチ
あした一旦顔合わせが
あるから遅れないように
○○まで来て。
12時までに来てね
隼
わかりました。
すげぇ。


俺が目指していたグループからの


指名はすごい。
手が震えている。


今にでも腰が抜けそう。



なぜか心の中には


ダンスの事ではない何かが


引っかかっている感じがする。
隼
あ…
今分かった。




今、東京と愛知でも遠いのに
(愛知は亜嵐くんとあなたが住んでるとこです)


俺がデビューしてしまったら…






もっとあの二人との関係が


離されてしまう。
隼
もう、わかんねぇ。
俺は頭を抱えてその場に座った。










けど仕方ない。




自分で決めた道だから




最後までやり遂げなければ────。

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