隼の言ったことが
現実なのか分からなくなった。
やっと実ると思ってたのに…
隼は喜んでやった!って
言ってくれると信じてたのに…
違ったの…
【ぷーっぷーっぷーっ…】
耳につけていた携帯が
離されていく。
目に涙が溜まる。
【キーンコーンカーンコーン】
チャイムだ。
そんな音なんて気にしようとも
気にすることなんてできなかった。
亜嵐くんが駆け寄ってきてくれて
背中をさすってくれた。
あなたは膝にうずくまって
泣いた。
その上から亜嵐くんが
抱きしめてくれた。
確かに…
あの後仕事があるとか
言ってたな…
でも…
亜嵐くんの腕の力は強まって
その言葉に安心した。
また目に涙が。
無意識にあなたも亜嵐くんに
抱きついていた。
それから結構な時間。
亜嵐くんの胸の中で泣いていた。
この辛い気持ちはいつになったら
晴れるのかな───────。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!