窓の外を覗けば広く広く澄みわたった空が見えるとある建物のなか……。私は、とある本を開いてまったりとしていた。本当はまったりしちゃいけないんだけど……。
「エイカ~、見つかった~?」
「まだ~」
今は、探し物をしているのだ。見つければ、この先の旅が一気に楽になるような物なんだけど……。ただ、どうしても頭が痛いって言う気持ちが勝っちゃってやる気が起きないんだよね……薬も、飲んでいるはずなんだけどね。
結局効いたのは一瞬だけだった……まあ、一瞬効いただけましかな。
「エイカ、探さないとカイトに怒られるぞ」
「いいんだよ……だってねむいんだもん」
だって、図書館って何か眠くならない? 本を保存するためにとっても過ごしやすい気温になっているし、この匂いがまた眠気を誘ってくるの。
「怒られても知らないからな……」
「へいへい」
因みに、今探しているのは過去のmagic countryについての資料である。エドナの体が黒猫になってしまった理由とか、どうして呪いをかけたのか……そして、これは私個人のものなんだけど……music countryをmagic countryからみてどのように見えていたのか、ということだ。
music countryの王家の末裔である私だけど、正直music countryについてはこの国の目線でかいたものしかしらない。他国に、どう見られていたのかということはわからないのだ……因みに興味本意で知りたいだけである。
「おいエイカ、休むのもいいけれど探してくれよ……お前、何故かmagic countryの気候が体にあわないんだろ? これ以上体調が悪くなる前にでないと大変なことになるんじゃないか?」
「でも、今頭いたいから働きたくな~い。カイト、エドナ、宜しくたのんだ‼」
「……静かにしてろよ」
あら、珍しい。カイトが休ませてくれた。いつもだったら強制的に働かせられるはめになっていたはずなのに……。
「え? 休んでいていいの」
「まあ、べつにいいよ」
「ありがとう~」
ということで、私はもう一度目の前の本に視線を落とした。この本、ほどほどに字が少なくて読みやすいんだよね~。いつもなら難しいような本ばっかり読むんだけど、今日は疲れちゃったのかそういうのを読みたくないんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。