第81話

一章 七節 炎の召喚!!
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2020/11/03 14:51


 エドナが戻ってきたのは、約五分後のことだった。たくさんの枝を背中の上に駆け寄ってきて、魔方陣の上にそれを置いた。

「この程度でいいか?」

「全然、むしろ多いくらいだよ……というかよく持ってこれたね……」

「ああ、背中の上に上手く乗っければ結構な量を持ってこれるからな」

 そういって自慢気に方法を説明してくれるエドナ。でも、その方法は普通の猫には出来そうにない……というか人間が猫になったとしても出来ない、と思うほどに難しい方法をとっていたみたいで……。コツをつかめば簡単にできる、と言っているが私はこういいたい。

[それはエドナがおかしいだけだよ]

 と。やっぱり、エドナってすごい人間だったんだね……ということがはっきりわかったのである。

「そ……それはそうとして、そろそろ火を点火しないと獣系のモンスターが来そうだからやっちゃっていい?」

「ああ、いいぞ……ちなみに、呪文はどんな感じなんだ?」

「呪文……とりあえず実践して見せるからそれでいいかな?」

 下手すれば、その呪文を唱えただけで魔方陣が発動してしまう危険性があるから、とつけたすとエドナは了承してくれた。

『かの地を照らし、繁栄をもたらした聖なる炎よ
今こそ、約束の時。我が前に力を示せ!!』

 徐々に発光していく魔方陣……。赤色の光を帯びたそれは、少しずつ枝に火をつけていく……数分後には、大きな火がそこにはあった。

「成功してよかった~」

 正直、ちょっとだけ心配だったのだ。いくら簡単な召喚とはいえ暴走したらこの森ごと焼きかねないし……。

「いや失敗するかもしれないのに使ったのか?」

「あ、うん……ダメだった?」

「危ないだろ……まあ成功したからいいか」

 そういって、朗らかに笑うエドナ。しかし、裏にはちょっとだけ殺気が見える……失敗しなくて、よかった。

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