「エイカさん!カイトさん!戻ってこれたのですね…良かった…」
宿に戻ると、シルフさんが一番に迎えてくれた。本当に、シルフさんがいなければ私たちは死んでいたかもしれない。ここはお礼を言わねばならない!という事でお礼を言うことにした。
因みにカイトは、もうシルフさんのことなんか構わずにすぐに薬を作りにいっちゃった。
「ただいま、シルフさん。そして、色々ありがとうね?」
「ほへ?色々とは何ですか?」
「ふふふ、シルフちゃん。今回は本当にファインプレーだったと思うわぁ…」
「あ、イフリート様!これは失礼しました…」
一気に低姿勢になるシルフさん。ま、そりゃそうか、だって人間界で言う上司?がそこにいるんだし。
「そんなに畏まらなくてもいいのに…今回は、シルフちゃんのお陰で全員が生きて帰ってくることができたのよ?」
「と、言いますと…」
「あなたが私やアイオロスちゃんに話を通してくれていたから、いざというとき…まあ今回、助けに行けたのよ」
「そ、そうなのですね。それでエイカさん達が助かったのなら良かったです」
そして、シルフさんはイフリートさんにペコリと一回挨拶をしたあと、こっちの方へ来てくれた。なにかな?と思っているといきなり抱きついてきた。
「エイカさんが無事で良かったです…もしかしたら、このまま死んじゃうかもって怖かったんですよ。けど、私が助けに行きたくても今度はエドナさんが危ないですし…」
色々葛藤して、悩んでくれていたようだ。私は良い精霊さんと契約できたみたいだ…
「ありがとう、シルフさん…」
「まあ、二人とも。まだエドナちゃんがなおっていないから安心するには早いわ」
「そ、そうですね…私はそっち方面に詳しくないからカイトに任せるしか…私はエドナの様子、見てきますね。シルフさんとイフリートさんは休んでいてください」
「ありがとうございます…それじゃあ、私は休ませていただきますが…あ、けれどエイカさん疲れていませんか?」
正直疲れていたけれど、シルフさんはもっと疲れているだろう。だから私は大丈夫と一言言って、エドナの方へ向かった。
「エイカさん、大丈夫ですかね?」
「大丈夫だと思うわよ。まあ、危なそうだったら私が止めるからあなたは休んでいなさい。」
「あ、ありがとうございます。イフリート様。それではお言葉に甘えさせていただきます。」
という事でシルフさんとイフリートさんには休んでもらって、私はエドナの様子見、カイトは薬作りということになった。エドナ、待っててね。もう少しで助けてあげられるから。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。