薪を集め始めてはや十分、もう両手にはたくさん薪……もとい木の枝がたくさんあった。今日はどのくらいの時間火をおこすのか知らないけれど、とりあえず多い方がいいのかもしれない。
まあ、これ以上持って行っても途中で落としちゃったら元も子もないしこれくらいでいいかな? ということで、ちょっと離れた先にいるエドナに声をかけることにした。
「エドナ~、そろそろ帰ろうよ」
エドナがいる方向に声をかけた……しかし、反応がない。何か、嫌な予感がする気がした。今は腰に剣……はあったはずだよね?
「エドナ……?」
不審に思ってそう言葉をこぼした瞬間に……
『キャハハ!!』
という子供の笑い声が聞こえた。悪寒が背中を走る。それは、今までに感じたことのないようなとんでもないもので……私は思わずに思考を停止してしまいそうになった。
「おいエイカ、逃げろ!!」
一体どのくらいの時間がたったのだろうか? 数秒だったかもしれないし数分だったかもしれない。エドナの声が後ろから聞こえた。しかも、とても切羽が詰まったような声で……。
こんな状態で動けるはずもない。そう思ったのはつかのま、体は脳が指令を出す前に足を素早く前に出していた。
「エドナ!! 一体何があったの?」
「分からない……いつの間にかに変な影が出てきていて……それで」
「と、とにかく危険ってことだよね……」
どうしよう、このまま逃げてひっちゃかめっちゃかに走ると迷子になっちゃうし奇跡的にカイトのところにたどり着けたとしても危険なのに巻き込むだけだし……。
あ、そうだ!! 精霊さんに力を貸してもらおう。えーっと……とりあえずウンディーネさんを呼び出してみよう
「エドナ、ちょっとだけ待っていてね。すぐ終わらせるから」
「え?」
[清流に住まいし碧き精霊ウンディーネよ!! 古の地で結びし契りを超えて、今こそ我に力をかしたまえ!! Water of summoning!!]
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。